彼の第一歩
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・・・これが誰を差しているかなぞ言われずとも分かるだろう。加えて睨みながらの自己紹介。差し出された手を握っていたら力強く握り返されていた事請け合いだ。
「では春恋先輩、早く行きましょう!」
「ちょっと待ってください」
うるちへ言葉とジェスチャーで少し待つように伝えた春恋は、一歩前に出てから海童へ満面の笑みを向けて、楽しそうに告げた。
「遅れましたけど・・・改めて伝えますわ。ようこそ大山海童さん! 天日学園生徒会副会長として、あなたの入学を歓迎いたしますわ!」
「・・・」
「海童さん?」
「・・・・・・ブフッ」
下を向いていた海童に春恋が声を掛けた瞬間、いきなり海童は噴き出す。
「ク、ククク・・・ハハハハハハ!! ダハハハハハハハハァ!!!」
「え? え!?」
突如上を向いて大笑いし始める杯に困惑する春恋だが、彼が笑っていた理由は本人の口から語られた。
「に、似合わん・・・似合わな過ぎるぞハル姉! その喋り方・・・バハハハハハハァ!!」
「なっ・・・!?」
如何やら顔を強張らせていた理由は、喋り方の所為で笑いがこみあげ、それを必死に耐えていたためらしい。が、ついに限界が来て噴き出してしまったのだ。
当然、そんな事を当人の前で言えば・・・
「そ、そんなこと分かってるのよ! 海童の馬鹿あッ!!」
「痛っ!?」
ぶったたかれるのは必然であった。
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アレから春恋達と半ば強制的に別れた海童は、普通に道に迷っていた。
今までとは違う道で、通学路も少々複雑。迷ってしまうのも仕方が無い。だが、早く体育館へ行かねば、入学式から遅刻という大失態を犯すことになる。
春恋からの制裁、自身の黒歴史、どちらもを避けるために、海童は走った。
と、木の上に誰かがぶら下がっているのが見え、入学式でそんな余裕をかましていられるなら道を知っているかもしれないと、気の下まで行って海童は声を上げた。
「あのー!」
「―――――」
しかし、木の上にいる女子生徒は反応しない。聞こえなかったかと海童は声を張り上げた。
「あのー!!」
「――――――」
又も聞こえていないのかそれともシカトされているのか、海童の発言は見事にスルー。焦っている事も相まってか、海童は素の口調で怒鳴った。
「オイ!!!」
「え? ちょ、わわわっ・・・わ、うわあっ!?」
「!」
どうやら本当に聞こえていなかっただけらしく、女子生徒は海童の怒鳴り声に驚いてバラン
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