彼の第一歩
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っていたのだろうが、残念ながら海童はそれが目的では無い・・・というよりも、女子高だった事すら知らないだろう。
だが、首をゴキリと鳴らしながら歩く海童を見て、僅かに頬を赤らめる春恋はどこか嬉しそうだ。もしかしなくとも、海童へ何かしら好意的な感情を持っている事は確かだ。
「そういえば・・・この学校は何か特別な行事はあるのか?」
「えっと、そうね。矢倉組んだりブトウ会開いたり・・・あとは巫女装束で神楽を舞ったりとかもあるわね」
「・・・聞いた事無い行事が目白押しみたいだな」
楽しみだと僅かに笑む海童を見て頬が緩みかけた春恋だったが、大事な事を思い出したらしく指を立てて忠告する様に告げ始める。
「それと・・・注意しておくことがあるわ」
「注意?」
「ええ、この学園は普通じゃ無くて―――」
「おっと」
「へ?」
言いかけた春恋から、海童が何故か咄嗟にはなれる。何やってんのという間もなく、離れた理由が飛び込んできた。
「センパ〜イ! 会いたかったですぅっ!!」
「わっ!?」
春恋と同じく髪をサイドテールにまとめたその少女は、手の動きと勢い、そして向き的にそのままだと海童を跳ね飛ばしていた事が窺え、海童が後ろに引いたのも納得がいく。
「お久しぶりです春恋先輩! 私、頑張って十五歳になりました!」
(ほっといても十五歳になるだろうが、誰だって)
海童と同じ事を思ったか、春恋も苦笑いしながらその少女に言葉を返した。
「う、うるちさんお久しぶり。それと、別に頑張らなくても歳は取れますわよ?」
「! ・・・」
いきなり口調が変わった春恋を見て海童の表情が何故か強張る。次いで、うるちと呼ばれた少女が海童の方を見て、無骨に嫌そうな表情をした。
「所でさっきから先輩の傍にいる、そのゴミは何ですか?」
「・・・」
突き飛ばされかけた上に初対面の人物にゴミ扱いされたのならば、誰だって不快に思うだろう。当然、海童の顔にも不満の色が見える。
「えっと、彼は私の幼馴染の大山海童さん。あなたと同じ、今日から天日に入学するんですわ。・・・うるちさんは中等部で後輩だったの、良い子だから海童さんも仲良くしてあげて」
「! ・・・」
又も海童の表情が強張る。そんな海童には構わず何やら葛藤していたらしいうるちだが、春恋に言われたからか海童へ近付いて自己紹介を始めた。
「天日学園一年の水屋うるちです。好きな物はパスタと春恋先輩。嫌いな物はゴキブリと・・・帽子長身男です。どうぞヨロシクネッ」
(誰だ、良い子って言った奴は)
帽子長身男
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