暁 〜小説投稿サイト〜
バカとテストと白銀(ぎん)の姫君
騒がしい春の協奏曲(四月)
第一章 小問集合(order a la carte)
第二話 彼らとの出会い
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生徒が最高でも500点代しか取れなかった試験を受けて、700点代を叩き出したとか。
人間離れをした肉体と知能を持つとの評判の先生。

ちなみにもう一人は勿論ではあるが学園長で、どうもうちの母と何らかの交流があったらしいのだけれど。

僕にも封筒が手渡されるけれども中身は見ずともわかっている。
けれども、見ずに捨てるのは失礼だ。
封をちぎりFと書いてある紙を引っ張り出す。
先日行われた成績振り分け試験は、二年に上がるときのクラス分けのために行われていて、その結果がこれだ。
ちなみにクラスは一学年六クラス、上のクラスから順にA〜Fという編成をとっている。
つまり僕は途中退席のせいで最低ランクのクラスに分けられてしまったのだ。
「妃宮、ルールはルールだ。」
振り分け試験は一度しか実施されないので、欠席や途中退出するとそれまでのテストの点も含めて全て無効になってしまう。
ある意味学園長の、体調管理まで含めて学生の仕事だという主張が色濃く現れている。

この点に関して僕は一切反論する気はない。
今回の試験が文月で受ける最初のテストだったのだから、学校側は僕の普段の成績さえ持っていないのだから、見込み点なんかつけられるはずがない。
それに、そもそも親に勘当すると言われて女装して学園に入学するなんてまさに愚かさの極みだろう。
「解っております。私は勉強に関する気の入れ方を怠っていたのでしょう。この度のことは全て私の身から出た錆です。」
「お前のような生徒こそAクラスはふさわしいのだろうが、な……」
そこで不自然に言葉を区切った先生の眉間の間には皺がこれ以上はないほどに寄せられていた。
そして僕にだけ聞こえるよう、ボッソリと呟いた。
「妃宮、お前本当に男なんだな?」
背中を汗が流れ落ちるのが分かった。
女装がばれていないのは好都合だけれど、そこまで言わなくとも。
泣きそうになるのを必死に我慢する。
周囲を見回し、意識して男らしい低い声で答える。
「先生、僕だって好きでしているのではないんですよ。」
「そうだよな……いや、済まない。俺が悪かった。赦してくれ。」
頭を下げる西村先生に、後ろから登校してきた生徒達が唖然としている気配で伝わってきた。
「そんな、私が熱で倒れたのがいけなかったのです。ですからどうかお気遣いなさらないでください。」
ソプラノの声に戻し、前後が不自然にならないように話を補う。
「そうか、解った。お前の教室は旧校舎側にある。行け。」
いつもの雰囲気を即座に纏い直した先生は僕を送り出した。
新たに僕の居場所となる、かの部屋へと。

2-F
その今にも折れそうな札がつり下がっている教室をすぐに見つけた。

教室の扉を開けるとそこには

閉まりきっていないためにすきま風が吹き込む窓
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