第二十四話「逃した獲物の大きさは……」
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は英気を養うには丁度いいだろう。それに俺もエストとのデートを楽しみにしていたりする。
どこでそんな知識を仕入れてきたのかわからないが、待ち合わせはデートの定番らしい。そのためわざわざ家を出る時間をずらしてこうして噴水前でエストを待っている。
――やっぱり、意識しているよなこれは……。
元々、並以上の好意を寄せていた俺だが、それは可愛い娘に対するそれであり恋愛感情は薄かった。
二次元の娘に萌えるオタク魂とでも云うか、あくまでもライクであってラブではない。
しかし、彼女と一緒に過ごす中にいつしか一人の女性として意識し始めていた。
精霊だから人間だからといった種族間による障壁は存在する。元よりあまり気にしない性質である俺だが、それでも未来を考えると一考せざるをえない。
恋仲になり、やがて結婚……のような具体的な考えに至るほどの恋愛感情はまだ有していないが、そういった未来に行き着く可能性は十分にある。
そうなれば避けて通れない障壁と直面するのは時間の問題だろう。
――って、何を考えてるんだか……。なにもこんな時に考えることじゃないだろうに。
難しいことは後回しだ。考えるべき時に考えればいい。
なるようにしかならないのだから。
「さて、もうそろそろか」
待ち合わせ時刻まで残り五分。エストのことだから遅刻はないと思うが……。
「お待たせしましたリシャルト」
「いや、大して待っていな――」
時刻丁度に背後から掛かる声。
待ち合わせ時刻丁度とはある意味エストらしいなと、そんな言葉が浮かびながら振り返り――。
思わず息を呑んだ。
エストの心を現すような純白のワンピース。胸元には小さなの赤いリボンがついており、膝丈までのスカートは軽いフリル状。
靴は薄い紅色のパンプスでヒールはあまり高くないようだ。
エストの清楚で幻想的な印象が一層際立っている。
精霊というよりは妖精のような美しさがそこにあった。
数秒見惚れる俺の顔をもじもじと裾をいじりながら見上げてくる。
「どうでしょうか。フィアナたちの意見を参考にしてみたのですが」
正直、その反応は反則だ。
エストの可愛さを数値として表すことが出来たのなら、ぐんぐんとうなぎ上りなのはまず間違いないだろう。
口元が緩むのが分かった。
――今の俺の顔は見れたものじゃないだろう、
「……可愛いよ。思わず見惚れた」
「そう、ですか」
ほぅ、と息を一つ吐いたエストが微笑む。
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