第二十四話「逃した獲物の大きさは……」
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シャルトは?」
「俺は婆さんに報告してくる。フィアももう戻れ」
「ええ、そうするわ。……本当に傷のほうは大丈夫なのね?」
何度も念を押すフィアに大丈夫だと頷く。意外と心配性のようだ。
寮へと向かう彼女たちと別れて俺たちも学園長室に向かう。すると、背後に声が掛かった。
「あ、あの!」
「ん?」
見れば、先ほどの女生徒が立っていた。
緊張した様子で顔を強張らせたまま大きく頭を下げる。
「助けていただいてありがとうございましたっ!」
見た目と裏腹の大きな声に目を丸くしたが、ふっと微笑んだ。
「どういたしまして。さ、戻りな。エリスたちが待ってるぞ」
踵を返す。なぜかエストが左手を握ってきた。
そちらを見てみると、「わたし不機嫌です!」とでも言いたげに頬を小さく膨らませている。
普段は無表情な彼女からしてみれば珍しい光景だ。
「……お兄様」
エストに気を反らしていた俺の耳には女生徒の小さな呟きは届かなかった。
† † †
あれから翌日。
報告をすると婆さんは難しい顔をして小さく「そうか……」と呟いた。あちらでも調査を進めるようなので、ここから先は俺が関わるべき話ではない。
餅は餅屋。気になりはするが、この件はこれっきりにしよう。
気分を切り替えて時計台を見上げる。
時刻は十一時四十五分。待ち合わせ時間まで後十五分だ。
今、俺はとある噴水広場にいる。半径五十メートルほどの小さな広場の中心には綺麗な水を吹き上げている噴水があり、その周りに等間隔でベンチが設置されている。
噴水が分かりやすい目印になるため待ち合わせ場所として広く使われている場所の一つだ。
広場にはそこそこの人影があり、各々の時間を過ごしている。なかには俺のように待ち合わせをしている人もちらほら見られた
今日の俺はいつもの制服ではなくカジュアルでラフな服装で固めている。
黒色のミリタリージャケットにワイン色のVネックシャツ、グレーのジーンズ。少し伸び始めてきた髪を軽くセットしている。
なんといっても今日はデートなのだから。下手な格好で行けるわけがないため、あまりファッションに自信がない俺なりに気を使った結果だ。
そう、なんと今日はエストとのデートである。少し前にあった料理対決の勝者であるエストたっての要望でデートをすることになったのだ。
任務を控えている身として
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