第二十四話「逃した獲物の大きさは……」
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「ぬ、ぐぅ……ッ」
咄嗟に柄を掴み、貫通した槍が背後の女生徒を襲わないように制動を掛ける。
激痛が走るが、意思の力で捻じ伏せつつ、一息で抜いた。
決して少なくない量の血が傷口から流れ出る。まるで命の残量が減っていっているかのようで、ひどく不快だ。
傷口に手を当てて気を流し込み、治癒力を上げる。また筋肉を締めることで強制的に傷口を塞いだ。
――損傷部位からして小腸の一部をやったか。重要な臓器や血管は免れたのは不幸中の幸いだな……。筋力は三割低下といったところか。
顔を上げると、男はすでに撤退した模様。さすがに機に敏といったところか。
こちらとしては向こうの手の平の上で踊らされた感じがして釈然としないところがあるが。
臨戦態勢を解く。すかさず人化したエストが俺を支えた。そこまでのダメージはないんだがな……。
「大丈夫ですか? 痛くないですか……?」
普段は無表情なエストが珍しく焦燥感を漂わせながら表情を崩すその姿に思わず苦笑する。
大丈夫だという意味も込めて頭を撫でると、追いついてきたフィアとエリスが口々にこちらの身を案じる言葉を投げかけてくる。
「リシャルト! ……ッ、なんて怪我だ……。すぐに病院を手配する!」
「いやぁ! 死なないでリシャルトくんっ!」
なぜか傷を負った本人よりあせあせしている二人。
「フィアはとりあえず落ち着け。これしきで死にはしない。病院の世話になるほどではないよ。この程度なら一週間もすれば完治する」
ホッと安堵の息を零す二人に苦笑を返し、背後を振り返る。
女生徒は力が抜けたのか、地面にぺたんと女の子座りをしていた。
「大丈夫だったか?」
「う、うん。あの、それ……」
恐る恐るといった感じで女生徒が傷口を見つめる。
彼女の顔は今にも泣きそうだ。
「大丈夫だ。これしきなんの問題もない。だからそんな顔をしないでくれ」
しゃがんで溜まった涙を指で拭う。ハンカチなんて普段から持ち歩いていないから無骨な指で我慢してほしい。
「なに、女を守るのが男の役目だ。怪我がなくてよかった」
「え、ぁう……」
そのままちょうどいい高さにある頭を撫でる。よくよく見ると、女生徒は小柄な体系で小動物チックな可愛さがあった。
彼女の手を引いて立たせる。あらためてザッと全身をチェックするが、怪我はないようだ。
「もう遅いからこのまま帰ってゆっくり休め。もう襲っては来ないと思うが、一応エリスたちと帰ったほうがいい。エリス、頼んだ」
「任された。リ
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