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真・恋姫無双 矛盾の真実 最強の矛と無敵の盾
群雄割拠の章
第五話 「わたしは彼と、添い遂げる」
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者に仕立てようとした貴方が」

 その兵の言葉に目を見開く。
 その場にいた兵の全てが、剣を抜き、儂を冷たく見下ろしていた。

「以前から貴方は劉j様を後継者に指名していた。長兄の劉g様は病弱であるがゆえに。だが、ここ数年の貴方はどうだ。天の御遣いなどというふざけた存在に傾倒し、自身の息子をないがしろにする始末」
「………………」
「ここにいる我らは劉j様、劉g様、それぞれを推している本来は反目する者達。だが、それでも天の御遣いなどという存在を荊州の主などと認めないことは一致している」
「…………ぐ」
「このことはお二人のご子息は存じません。我らが勝手に相談し、決行したこと。今のあなたに、荊州牧たる資格などない」
「………………」
「自身の子より他者を後継者に指名する……親族の方々はそんな貴方を見限ったのですよ」

 ……そうか。
 儂の家族は、儂を見限ったか。

「……ふ、ふふ……」
「……おかしいですか? それとも気が触れましたか?」
「ふ……いや、自嘲しただけよ」

 そうじゃな……儂は、儂の方こそが……家族を見限っておった。
 息子より盾二を選んだ時点で、儂は親として失格なのじゃから……

「計画したのは……蔡瑁や張允あたりか……の」
「……さて。それを知った所で死にゆく貴方にはどうでもいいことでしょう。泰山府君の元で、精々悔やみなさるがよろしかろう」

 目の前にいた兵が右手で合図をする。
 その後ろにいた何人かの兵が、すかさず儂に刃を突き立てた。

「グ……」
「貴方は道中で病死したことになる。流行病は怖いことですな」

 血に染まる視界。
 鳥と虫の鳴き声が耳に反響する。
 水面に映る陽の光が、まるで死出の旅路の送り火のように視えた。

「すま……じゅ……じゅん……じ……」

 儂のようにはなるな……
 それだけを祈りながら。

 儂の意識は、闇に沈んだ。

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