暁 〜小説投稿サイト〜
真・恋姫無双 矛盾の真実 最強の矛と無敵の盾
群雄割拠の章
第五話 「わたしは彼と、添い遂げる」
[4/10]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
ら立てと……突き放した……」
「………………」
「わかってた……わかっていたけど……認めたくなかった……捨てられたくなかった……ぜんぶ、全部私の甘え……」
「………………」
「でも、それじゃあ……あの人に負ける……あの人が盾二さんを……」

 寝具を握る、桃香様の手に力がこもる。

「やだ……やだ……やっぱり、やだ……諦めたくない……諦めきれない……盾二さんを……好きだという想いを……こんな想いのままで……」
「………………っ」

 この方は……やはり私が認めた方だ。
 ドン底まで落ちても、這い上がろうともがく。

 全てを諦めようとした私などとは比べ物にならない。

 この人だからこそ……私は。

「私ができることは……梁州をまとめること。盾二さんが……いつ戻ってきてもいいように、帰る場所を……護ること。だから……」

 桃香様は、その強い眼差しで、私を見る。
 ああ、私は、私には。
 まだ……この人がいる。

「愛紗ちゃん……ご飯、持ってきて」
「………………はいっ!」

 私は涙が溢れた。




  ―― 孫権 side 漢中近郊 ――




「…………お姉様。今、なんておっしゃいました?」

 時刻はすでに夜。
 煌々と月の光が照らし出す夜に、お姉さまは漢中から戻ってきた。

 梁州の急報に、私とシャオ、そして冥琳を連れ、兵もたった騎馬兵千のみを護衛に幾里も駆け抜けた。
 ようやく辿り着いた梁州の街道の安全さに驚きつつ、街道を警備していた梁州兵に取次、お姉さまは一人で漢中へと入っていった。
 そしてその夜――皆を集めた月明かりの下で、お姉さまは突然の言葉を吐く。

 私は思わず、耳を疑った。
 その目の前にいる、我が最愛の姉に再び尋ねた。

「……もう一度言うわ。私を死んだものと思いなさい」

 見上げる姉は、厳しい顔のまま、先ほどと同じ言葉を口にした。
 その言葉に、よろっと身体が(かし)ぐのを感じる。

「な、なに、を……」
「お、お姉様!? 一体何を言っているの!?」

 私の隣にいた孫尚香――シャオが叫ぶ。
 その叫びも当然だ。
 シャオが叫ばなければ、私が叫んでいた。

「言ったとおりよ。本日を持って、私は隠居。孫呉におけるすべての権限を蓮華に譲るわ。今後は蓮華を王として孫呉を纏めなさい」
「突然そんなこと言われてもわかんないよ! 一体、何がどうしてそうなるの!? おねえさまは、まだ若くて元気じゃない! せっかく家族揃って母様の夢を叶えたっていうのに!」

 そう、そうだ。
 孫呉の復活は成り、揚州一帯は私達の手に戻った。
 これから街を、民を導いて強い国を作り、家族が笑って暮らせる国を作ると。
 その
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ