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真・恋姫無双 矛盾の真実 最強の矛と無敵の盾
群雄割拠の章
第五話 「わたしは彼と、添い遂げる」
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  ―― 孫策 side 漢中 ――




 扉を開けたわたしの目に見えるのは、二人の女性。
 片方は、少しやつれた関羽。
 そしてもう一人は――もはや死にかけた姿の劉備。

「……無様ね」

 ふいに口に出る言葉。
 わたしの言葉に、劉備の傍にいた関羽が(まなじり)を上げる。

「き、貴様……っ! 桃香様に向かって……」
「無様だから無様といったのよ、関羽ちゃん。貴女も何よ、その姿は。流行病でもかかったのかしら?」
「ぬかせぇっ! 孫伯符! 私はともかく、桃香様を侮辱することなど許さん……っ!」

 言葉は激しいが、口調が伴わない。
 明らかにやつれているのが誰の目にもわかる。

「あら? 今の貴女に私がやられるとでも? 見くびらないで欲しいわね……そんなヨレヨレの姿で、一体何を吠えるというの」
「ぐっ……」

 今の関羽では、自慢の青龍偃月刀すら満足に扱えないでしょうね。

「無様、と言ったのは、なにも劉備ちゃんだけのことではないのよ?」
「貴様……」
「音に聞こえた美髪公、関雲長のそんな姿。誰も見たくなかったでしょうね」
「うあああああああっ!」

 わたしの挑発に、やつれて力のない関羽が飛びつく。
 武器も持たず、足取りもおぼつかず、力のない拳を握って。

 けど……ごめんね。

「フッ!」
「がっ!」

 今の関羽の拳など、目を閉じていても躱せる。
 そのまま掌底で関羽の胸元を打ち付け、関羽は壁に叩きつけられた。

「貴女はそこで見ていなさい」

 そう言って劉備の傍へ。
 力なく虚空を見る劉備は、何も反応しない。
 心が……死んでいる。

「劉備ちゃん……貴女は、なにをしているのかしら」

 わたしは劉備を見る。
 そのやつれた姿など、見たくはなかった。
 これが劉備玄徳?
 これが黄巾の乱で名を馳せ、連合で力を見せつけた、梁州の王?

 これが……私が認めた、あの人の……?

「こんなところで、力なく横たわって、貴女は一体何をしているの?」
「………………」
「わたしは……こんな情けない女に、盾二を預けた覚えはないわよ」
「………………い」

 劉備の口が、ようやく少しだけ動く。
 見れば、その死んだ目が、ようやく少しだけ光が灯る。

「あなた……に、は、わからな……い……」
「わからないわね……わかりたくもないわ。盾二にフラれた貴女なんか」
「……っ!」

 その目に、光が宿る。

「盾二は正しいわね。こんな貴女相手に……いえ、こんな場所にいつまでもいるべきじゃなかったのよ。離れて正解」
「………………いせい、してください」
「? 訂正? なにをよ」
「梁州は……皆が築き上げた
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