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【IS】例えばこんな生活は。
例えばこんな真実を暴く必要があったのだろうか
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の答えは、今となっては光子にも分からない。近親姦をする人間の心理など多種多様過ぎてこれだと定義付けすることは難しいだろう。

「ゴエモンはあの人が死んでからは、私を落ち着かせようと今まで以上にあの人になりきっていきました。漢字に詳しくもないのに新聞を読んだり、あの人が好きだった食べ物を、苦手なくせに食べて見せたり。あの小さなゴエモンがそんなことをやっているのは・・・痛々しかった」

だからこそ余計に愛おしくて、そして同じく愛おしかった夫と重ねてしまったのだろうか。ジェーンにはやはりそのような心理は分からない。でも、ゴエモンがそうやって必死になったのは、いつもの母親に戻って欲しかったからだろう。減点方式の好感度とやらの正体はきっとこれが始まりだ。

「握っていた幸せを自分の下に縛り付けたかったのね。ゴエモンに何処にも行ってほしくないから、私を求めてほしかった・・・・・・知れられていれば、私は性的虐待を行った母として親権を停止されてもおかしくなかった」
「それで、ゴエモンとですか。ゴエモンは何と?」
「もう、覚えていないわ。ただ拒否はされなかったと思う。優しい子だから、そこまであの人になりきろうとしたのかしら・・・もしあの時に嫌だって泣いてくれれば――いえ、何でもありません。そう育ててしまったのも私だもの・・・・・・軽蔑した?」

すこし自嘲気味な声色だった。罪を犯したのもそれを求めたのも、結局は自分に起因する事でしかないとでも感じたのかもしれない。悪いのは自分でゴエモンは悪くない。そう言いたげだ。ジェーンは、光子も悪いとは思わなかった。ただ彼女は過ちを犯してしまっただけだ。

「驚きはしました。想像もできない・・・・・・でも、きっと私の方が汚れていますし。ちょっと二人に対する印象は変わったけど、何となく想像できます」

母親が本気で行為を求めていることをゴエモンは察したんだろう。それがいいとか悪いという感覚があったのかは分からないが、きっと断れなかったろう。断れば相手を深く失望させてしまうという強迫観念との板挟みの末に、ゴエモンはそちらを選ばざるを得なかった。子供は親には逆らえない、ということなのかもしれない。
光子は自分の事よりゴエモンが嫌われることの方を本気で心配していたのか、胸元に手を当てて小さく息を吐いた。その吐息には安堵と共に深い悔恨が含有されているように、黙って聞いていたニヒロは感じた。と、同時に光子はジェーンを案じるような瞳を向ける。

「今、『私の方が汚れている』って貴方は言ったけど・・・・・・いえ、聞かないでおく。貴方の目はとてもまっすぐで迷いが無いもの。だから・・・・・・もしそれでも辛くなったら、わたしで良ければお話を聞くわ」
「こんな時でも人の心配なんて、やっぱり貴方はゴエモンの母親ですね」
「え・・
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