噂
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か」
「おうよ。いい報告を待ってるぜ」
エギルから買取料を渡されるとそのまま帰路につく。すでに外は暗くなっており、元々薄暗いアルゲートの街がさらに闇を濃くする。
「さて、明日は人狼探しだからさっさと帰るか…」
ポツリと呟くと自分が宿泊している宿へと足を向ける。
現在、最前線の迷宮区。自分でマッピングしてあるところまでくるとスキル《索敵》をフルに発動しながら、周囲を警戒する。視界に光の点で近くに居るプレイヤーやモンスターの位置がわかる。その光の点に注意を向けつつ、移動を開始する。
探索を開始し始めておよそ3時間が経とうし、ため息が漏れてくる。そう簡単に会えるわけないよなぁと諦めつつ、帰路に迷宮区から出ようとすると、索敵に反応が現れる。そのの光点小刻みに移動をしているところから戦闘中だとわかる。
まさかと思い、駆け足でその場へと向かうと……
「ん??……あれか!」
キリトの視界に黒のフードを被ったプレイヤーがリザードマン三体を相手に刀一本で戦っている様子が映る。
(目深く被ったフード、刀……エギルの言ってた通りだな。しかし、まさか探索初日で遭遇するとは思わなかったな)
心の中で自分の幸運に感謝すると再び噂の渦中にあるプレイヤーを観察する。敵の攻撃を華麗なステップで躱し、カウンターで攻撃を当てていく。激しい動きの中でコートの端が宙を舞い、その奥から何やら白い物が見える。だが、キリトはそれではなく、人狼の動きに注目をしていた。
(さっきから動きに全く無駄がない。それに三体に苦戦するどころか圧倒している!)
そいつの戦闘技術の高さに舌を巻く。基本モンスターと戦闘を行う際はメンバーと同数またはそれ以下の数を相手にする。そうしなければ、死角から一撃もらい、それが致命傷となりゲームオーバーなんて事が容易にありえるからだ。黒の剣士と呼ばれる自分でも一体より多くの敵を相手取る場合は滅多になく、ありえたとしてもレベルの差がそれなりにある場合である。
しかし今、目の前で戦っているプレイヤーは雨あられと降り注ぐ相手の攻撃をひらりひらりと躱していく。まるで舞うように…
(ん?あの動き、どこかで見たことが…)
喉に小骨が引っかかるような違和感を感じ、記憶を探る。舞うような動き…あと少しで思い出せそうという時にパリンとガラスが砕ける音が同時に3つ響き、思考の海から引きずり上げられ、三体いたリザードマンたちポリゴン片へと返された後だった。
戦闘を終えたあのプレイヤーはこちらに気づき、一瞥すると溶けるように視界から消えた。
「なっ??」
突然視界から消えたプレイヤーを見て思わず驚
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