一話 剣の世界で
[2/2]
[8]前話 [9]前 最初 [1]後書き [2]次話
ったゴブリンはHPまで僅かに現象してしまっていた。《転倒》状態に陥ったリーダーを助けようとするように押し退けられた二匹のゴブリンが体勢を立て直し再度少年に迫る、が。
即座に浮かせた足を踏み込み、右腕を体に巻きつけるように振りかぶった少年の突撃槍が青く輝き始める。ソードスキルの発動に気づいたゴブリン達が足を止めるが既に彼らは間合いの内に入ってしまっていた。ゴブリン達目掛けてペールブルーのライトエフェクトを発生させながら白銀の突撃槍が薙ぎ払われる。
突撃槍用打撃技《リペルスイング》
突撃槍の特性上、高いダメージの望めない技ではあったが武器の重量とシステムアシストによる強烈な一撃を叩き込まれゴブリン達はHPバーを減少させながら吹き飛ばされるようにノックバックし、背中から倒れこむ。分断された三匹のゴブリン、少年が挟まれる形になったとも見て取れるが――そこに新たな人影が飛び込んでくる。
木々の間を抜けてきた、こちらも年若い少年は気合を口から叫びながら《転倒》状態から脱しようとしていたリーダーゴブリンへ一直線に向かっていく。革装備で固めた装備にブレストアーマーを着込んだ少年が右手に携えた長剣には既に黄緑の光が生まれていた。
「おおおっ!」
片手剣用突進技《リープスラッシュ》の斬撃がゴブリンの矮躯を切り裂く。
「アルバ!……スイッチ!」
「おう!」
一撃を浴びせた少年は鋭く呼びかけその場から飛び退くとまた別方向からアルバと呼ばれた少年だろう、革鎧のみという他の二人に比べ更に軽装だ。怯んでいるゴブリンに向かい駆けながら長大な両手剣が高く掲げられ発動条件であるモーションが感知されると頭上の剣がオレンジの輝きを放ち始める。同時に働くシステムアシストにより疾走が加速、瞬く間に距離が詰まり上段の構えから一気に振り下ろされる大剣。
頭からゴブリンを両断した大剣の軌跡には赤々としたダメージエフェクトが刻まれ頭上にあったHPバーが急激に減少、消滅した。生命力を削り尽くされたゴブリンはビクビクと振るえ断末魔の悲鳴を上げたかと思うと次の瞬間、乾いた音を立ててその全身を構成していたポリゴン体が白い輝きを発しながら弾け、ガラス片のように変化した残骸が散って消えた。
「さーてと?」
おどけるような口調で大剣使いが言うと飛び出してきた二人の剣士は突撃槍使いの少年に並び油断無く武器を構えながらリーダーを失った二匹の子鬼を睥睨する。打撃の衝撃から立ち直ってはいたがどこかおどおどとした動きは先刻までと比べ明らかに精彩を欠いている。
「すぐに片づけよう」
左の手に小盾を握る片手剣使いがそう言い放ってから二体のゴブリンがその身を消滅させるまで、一分とかからなかった。
[8]前話 [9]前 最初 [1]後書き [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ