アスターテ会戦?
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才能を持つ提督なんだよなぁ」
まっとうどころか天才と創造主から口をすっぱくして言われていた彼女は口を開く事無くヤンの言葉を促した。
彼の言わんとする事はその後に淡々と呟かれた。
「彼、本当に戦うのかい?
こんな戦略的無意味な戦場で、四倍もの敵を前にして」
「え?」
漏れた声はグリーンヒル少尉。
三倍もの軍勢相手に勝った常勝将軍が戦わないなんて事想像もしていなかったらしい。
「戦略的に見て、帝国は既にその目的を達成しているんだよ。
同盟軍を主戦場たるフェザーン回廊から遠ざけるって目的はね。
そこから得られる武勲なんぞおまけみたいなものだし、彼からすればむしろこの後、フェザーン回廊戦の方がはるかに出世しやすいんだよ」
「そ、そんな訳……」
しどろもどろになるグリーンヒル少尉を見てヤンが意地悪そうに笑う。
戦わなくてするのならばそれに越した事はないから言葉も軽い。
「確認してみるかい?
この後、敵艦隊に張り付いていた偵察隊は全て潰され、灯台も占拠されて情報を完全に途絶するよ。
まぁ、記録に残す為に短距離ワープぐらいはするだろうが、アスターテ行きのワープポイントからワープするならば、そりゃアスターテにワープすると皆思い込むだろうさ。
で、我々はアスターテで待ちぼうけを食らっている間に、彼はゆうゆうとイゼルローンに帰還すると」
(ネットワーク内緊急電!
急いで敵艦隊に張り付いていた偵察隊の安否確認を!!)
(ダメです!
敵艦隊に張り付いていた第139偵察隊、第224偵察隊、第591偵察隊応答ありません!)
(灯台からも呼びかけても返事がありません!
占拠されている可能性あり!!)
(周囲の偵察衛星が全て破壊されています!
通常の軍事行動と判断して再配置を会戦終了後にしていたので、哨戒網に大穴が開いています!!)
(どうする?
ヤン提督の言うとおりに全艦隊向かって来なかったら、予算の無駄遣いと野党追求の格好のネタにされるわよ!)
(政治的なごたごたは後で何とかします。
それよりもヤン提督の予想が外れてアスターテに敵が来てしまった方が、軍が見捨てた事になってやばくなるわ。
艦隊のワープスケジュールは変えないで。
追加の偵察隊の抽出急いで!)
(方面軍司令部直卒艦隊より戦隊規模で抽出します)
ネットワーク内の姦しい大混乱なんてヤンは知る事無く、グリーンヒル少尉が注いだ紅茶の香りを楽しむ。
彼の予言は当たり、一週間の待機の後艦隊は撤退する事になった。
なお、同時期に発生した第二次アイゼンヘルツ会戦において、フェザーン軍54000と帝国軍60000の大会戦は双方二割程度の損害を出し
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