幽鬼の支配者編
EP.24 想い重ねて
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全くの同時のタイミングでの魔力解放と共に、約10mの巨大な盾とそれを囲むような鎖が現れ、大気を揺るがす轟音と共に放たれたジュピターから放たれた魔力砲弾を防いだ。
しかし、暴発寸前までチャージされた膨大な魔力の砲弾を完全に防ぐには至らず、次第に盾に罅を入れていく。
防ぎきれないと諦めかける妖精の尻尾の面々だったが……彼らの目に信じがたい光景が映った。
鎖に張られた膜から魔力が盾へ供給されていき、盾の罅が修復され、砲弾を押し返し始めたのだ。
「「はぁぁああああああああぁぁぁああっ!!」」
そして、ワタルとエルザの気合と共に砲弾の魔力が完全に散ると同時に、巨大な盾と鎖も消失した。
「……“魂威”と“金剛”、名付けて“魂剛重防壁”、ってとこか……」
「なんでも、いいさ……ギルドを、守れたんだ。……無事か、ワタル?」
「誰に言ってるんだよ、エルザ。それにロマンってもんが分かってねーな。名付けは重要だぞ」
「はいはい」
魔導集束砲を損害無しで乗り切った奇跡を前に、互いの無事を確かめて沸くギルドメンバーの歓声を背にしながら、二人は激しい魔力消費に荒い息を付いて軽口を叩き合う。
爛々とした目で幽鬼の支配者のギルドを睨みつける二人に、愉快そうな称賛の声が掛けられた。
【“合体魔法”とはね……いやはや、ジュピターを防ぐとは、驚きましたよ】
拡声器を使ったジョゼの声には感心と称賛が込められていたが……同時に身体の芯から底冷えするような苛立ちも含まれていた。
【そして、ワタル・ヤツボシ……。一度ならず、二度までも私の邪魔をするとは……よっぽど死にたいと見えますね】
「二度どころか、三度でも四度でも……何度でも邪魔してやるよ! それに名指しとはな……俺にビビってんのかよ、ジョゼ?」
不敵な笑みで、額の汗を拭いながらワタルは挑発したが、ジョゼは嘲笑う。
【フフフ……強がりはよしたまえ。確かに見事な“合体魔法”でしたが……何度も発動できるものではあるまい。現に貴方も隣のエルザも、息が上がっているではありませんか。マカロフもいない貴方たちに勝ち目があるとでも? そこで、ですね……ルーシィ・ハートフィリアを渡せ。今すぐだ】
突然、丁寧な口調から乱暴で粗雑な口調になったジョゼ。
だが、苛立ちが頂点に達した聖十大魔道を前にしても、妖精の尻尾は一歩も引かない。
「本性表したな、エセ紳士」
「ふざけんな!」
「ルーシィは仲間だ!」
ワタルの悪態が切っ掛けとなり、妖精の尻尾の魔導士達が口々に、ルーシィは渡さないという意志を見せる。
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