アルン、突入
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。
そしてキリトは、犬歯を剥き出し、背の剣を抜こうとしていた。
ーーーーーまさにその時だった。
視界の彼方に、揺れる一つの白い光がちかりと瞬いた。
「………あれは……?」
キリトは怒りを忘れ、俺は考えを忘れ、それを凝視していた。
俺が手を伸ばすと、それは俺の手に握られていた。
「……カード」
俺はぽつりと呟き、キリト達の方へボバリングした。
キリトは無言でカードを見て、リーファに問う。
「リーファ、これ、何だか分かる……?」
「ううん……こんなアイテム、見たことないよ。ライト君、クリックしてみれば?」
「いや、クリックする必要がない」
俺は直感で、これが何かが分かっていた。何度も、何度も、裏で見てきた物。これの正体はーーーーー
「こいつは……システム管理用のアクセスプログラムコードだ」
「!?………」
キリトは息を詰め、俺の手にあるカードを凝視する。
「……じゃあ、これがあれば………」
「いや、ゲーム内でアクセス権を得るには対応するコンソールが必要だ。俺達には、それが出来ない。だが、こいつが意味なく落ちてくる筈ねぇ………」
「それじゃあ……アスナが気付いてこれを………」
俺は無言で頷き、カードをキリトに渡す。
「キリト、これはお前が持つべきだーーーーーリーファ、後、樹の中に通じるゲートは何処だ?」
俺はリーファに向き、質問する。
「え……あれは、樹の根元にあるドームだけど……」
「ありがとう、悪いが、ここからは俺達の問題だ。俺達だけで行く」
そういって、俺はキリトを連れて一直線に世界樹の最下部まで降下する。
暫く降下し、アルン市街がその根元に姿を現す。その上部、巨樹の根と根の隙間に、一際大きなテラスを見つけ、俺達は体勢を入れ替えてそこに着地をする。
「ユイ、ドームとやらへの道は分かるか?」
キリトがユイに言う。
「はい、前方の階段を上ればすぐです。でもーーーーー良いんですか、パパマスター?いままでの情報から類推すると、ゲートを突破するにはかなりの困難を伴うと思われます」
「『離れた手をもう一度掴むため』なら、多少のリスクは承知だ。『やる前から後悔するより、やってから後悔しろ』ってな」
俺はゲートに続く道を見ながら言う。
俺だって昔はそうだった。何もかもやる前から諦め、初めて成し遂げた事さえ、やってから後悔することすら出来なかった。だが、今は違う。
「手なら幾らでも掴んでやる。例え、それがNPCでもプレイヤーでも。それが俺達に与えられた『檻を破る力』だ!!」
「確かに、その通りかもな」
キリトはユイの頭を撫でる。
俺達は階段を登り、壁らしき所まで移動する。
そこには、プレイヤーの十倍はあろう身の丈の、妖精の騎士を彫像が二体並んでいる。像の間には、華麗な装飾を施した石造りの扉がそびえている
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