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無欠の刃
下忍編
鈍る
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しっくり来ず、カトナは吐き気を殺すように『私』と自らを呼んでいた。
 どうしても必要なときは喋るが、それ以外では絶対に使いたがらない。
 それにまた、あの辿々しいしゃべり方も、カトナの処世術の一つであった。
 途切れ途切れの会話…というのは、案外、情報の認識に行き違いが起こりやすいのだ。だから、彼女はきちんと情報を伝達するときはスラスラと喋る。
 先程の試験では何時もよりスラスラと喋っていたので、そう勘違いしたのだろうと、思いつつ、サスケは少年の腕をひねりあげる。

 「それと、彼奴はお前みたいに体ががっしりとしてねぇよ」

 やはり遠目から変化の術で、カトナの体に変化することは難しかったらしい。基準を同年代の男子くらいとしていたのだろう。カトナより遥かに太い肩が悲鳴をあげた。
 ただでさえ、だぼだぼの服を着て線が出ていないのだ。しかももとの骨格は女子を参考としている。骨格にわずかな変化が起きるのは当然だろう。
 それは通常ならば見逃される、ごく小さな違和感だが、しかし、写輪眼をもつサスケには通用しなかった。
 眼が細められ、殺気が漏れ出す。

 「てめぇ、まさか、カトナに何かしやがったわけじゃねぇよな?」

 写輪眼が、その瞳に浮かぶ。
 少年が、ひっと、悲鳴を上げた。
 サクラはなにも言わず、クナイを構えた。



 一方、トイレを済ませ、さて帰ろうと元来た道を歩き出して数分、サスケが現在心配している対象の彼女は、森の中を迷っていた。

 「…ふむ、誰かにつけられた、かな?」

 そういいながら、カトナは上を見上げる。ぎりぎり木々の隙間から覗く太陽の光から、自分の場所を把握する。先程用を足した場所から、そう離れてはいない。誤差の範囲で200メートルだろう。しかしまぁ、どうしたもんか辺りを見回した。
 というのも、彼女は何も馬鹿ではない。万が一、方向がわからなくなったとき様に、道しるべも残してきた…のだが、自分が先程残したはずの道しるべがすべてなくなっているのだ。後始末が楽だとか一瞬そんなことが頭をよぎったが、しかし、道しるべが無いという事は、サスケ達の元に帰ろうにも帰れないのだ。
 困った困ったと、全く気軽そうに肩をすくめたカトナは、辺りを見回し、懐から取り出した巻物で近くの木に触れた。
 ざわざわと、噂するように木々がゆれ、木の葉がざわめく。紙と木がふれあう感覚に、体が少し固くなる。

 「チャクラをとがらせ、上に集中。消化」

 静かなその言葉と共に研ぎ澄まされたチャクラが木々を貫き、木のチャクラがカトナに流れ込み、巻物が青く光る。

 「発動、聴命の術」

 その言葉と共に、カトナの感覚が研ぎ澄まされた。
 聴命の術。カトナのオリジナル忍術だ。
 チャクラを構成している、
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