≪アインクラッド篇≫
プロローグ リセットの享受
プロローグ 郷愁の日々 その壱
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最早無我夢中でイノシシに姿勢を低くして突っ込む。実は何度かイノシシと戦ったが、半分までHP落とさせたのはこれが初めてだった。今までは時間がかかりすぎてしまい他のフレンジーボアもPOPしてきて撤退せざるおえなくなっていた。
イノシシの突進攻撃で生まれた四メートルほどの間合いを駆け抜けてイノシシに接近する。向こうもまた、こちらに向かって突進する。
何度も何度も見た攻撃だ。ノーダメージで避けようと思えば避けられる攻撃だがもう精神的に限界だ。接近して一気に決着を着けてやる!
俺は衝突直前で一旦止まり、右斜め後ろにダンッと音をたててバックジャンプで回避する。イノシシは俺が居ると錯覚してか頭を上に振り上げた。あの突き上げ攻撃をまともに喰らうと馬鹿にできないダメージになる。しかしその攻撃は大きな隙も生むのだ。
「喰らえっ!!」
俺は隙だらけになったイノシシにダッシュで接近する。狙いは心臓。今なら首が上がっていて狙いやすい。
ダッシュの勢いそのままでイノシシに体当たりする。イノシシは全体重を乗せた体当たりに大きくバランスを崩しさらに首を露出した。
ここで、≪手甲剣≫のソードスキル≪罰≫の構えをとる。
≪罰≫はソードスキル特有の立ち上げ時間と硬直時間が殆ど無い。その代わり敵と密着するような零距離でないと発動できないという見過ごせないデメリットを持つ。
しかし今、その条件を満たしている。大きく振りかぶられたジャマダハルは黒煙のようなエフェクトを身に纏い、風を斬る音と供にフレンジーボアの心の臓腑へと真っ直ぐ高速で吸い込まれていった。
バンッ!という剣ではなくまるで銃のような音が敵の心臓から聞こえて――敵は光の粒子となりバラバラに消えた。
その光の粒子が顔にぶつかり、俺はやっとモンスターを倒せたという達成感に包まれた。ふうう、と安堵の溜め息を吐き、尻餅をつくように座り込むと後方から拍手と笑い声が聞こえてきた。
どうやら数人のギャラリーができていたらしい。確かに鬼気迫る声と表情でレベル1モンスターを倒しているプレイヤーを見たら俺も茶化しに行くだろう。俺は振り返ってギャラリーの彼らに両手を上げ、いかにもな仕草で舞台役者のように「サンキュー!」と大声で返す。
それを合図にだろうか観戦していたギャラリーたちはその場をゆっくりと歩いて離れていく。
俺は先程まで戦闘していた場所――フレンジーボアのPOP地点――から離れたところにある座りやすそうな岩に腰掛けた。
――それにしても、ジャマダハル、こいつは思ったよりも曲者だな……。
成る程、確かにコイツは誰も使わないはずだ。珍しい、という意味も良く分かる。
初めて見た時にも思ったことだが、リーチが短く、重い。そして足り
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