≪アインクラッド篇≫
プロローグ リセットの享受
プロローグ 郷愁の日々 その壱
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はコンマ一秒と遅れずにログインした。
しかしそれは俺以外のプレイヤーもそうだったらしく瞬きする間にもサーバーステータスのログイン数は九千五百を越えていた。
それもどことなく嬉しかった。折角のオンラインゲームなのだから≪ガチ勢≫は多いほうが楽しい。このログインステータスの九千五百は初回の奴ら全員が≪ガチ勢≫なのだよ、と教えてくれているように感じた。
≪始まりの街≫にPOPした後の俺の様子は語るまでもないかもしれない。ログイン前までの俺の様子から察してくれると思うがそれはもう走りまくった。
駆ける度に足の裏から靴と石畳のコッコッという音が聞こえたり、走る時に感じる風の感触がまるでリアルそのものにしか感じられなかった。
流れてくる景色が架空世界のそれだとは俺には到底思えず、人目が無ければ感動のあまりに泣いていたかもしれない。最もSAOでは感動で泣くことはないのだが。
およそ一時間の間ずっと初期リスポン地点≪始まりの街≫を駆けたころ、興奮が落ち着き始めてきた。始まりの街は広大で一時間かけても全容は掴めないほどだったのだが、似たような街並みが続くと流石の俺でも落ち着いてくる。しかしその興奮を冷ますのがとてつもなく勿体無く感じた。俺はすぐさま新たな興奮の種を探してキョロキョロとあたりを見回した。
そして視界に入ったのが木で出来ている洒落た武器屋だった。
武器屋の中でNPCの女店主と他愛のない話をして(セクハラまがいの話もキャラクター的にはしたかったのだが、興奮で素だったのとあまりにも精巧な架空体のNPCに謎の遠慮をしていたのと言動で≪倫理コード≫に引っかかるか分からなかったので、できなかった)この店で一番珍しい武器を買いたいと女店主に話したところ、店の奥から取り出してきた武器が≪ビギナージャマダハル≫という刀身と垂直なつくりの柄を握るようにして殴り刺す≪手甲剣≫という架空武器ジャンルの剣だった。
なんと表現すれば良いのだろう。『手刀を参考に剣にしてみたよー』みたいな武器だった。
俺はその武器の姿を見たときにこれは運命だと思った。
そのどう見ても足りなさ過ぎるリーチ。振りやすさを求める短剣にあるまじき刃幅と重量。刺突武器であるために横振りじゃ殆ど火力が出ない不便性。心臓に当たれば通常のクリティカルの倍の威力は出るという特殊効果。鎧を貫通することが可能だという貫通力。ジャンルは違うが現実に実在する武器。なんといってもこのゲテモノ武器を構えながらゲスな笑みをすると、完璧なまでにザコ盗賊感を出せるというのが一番俺を魅了した。
驚いたことにその剣は千コルというプレイヤーに与えられる初期額と同じ値段だった。他の基本武器はどれも三百コル程度の癖にこのゲテモノだけは三倍以上も高いのだ。正直なところ、その点
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