暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン ≪黒死病の叙事詩≫
≪アインクラッド篇≫
プロローグ リセットの享受
プロローグ 郷愁の日々 その壱
[2/7]

[1] [9] 最後 最初 [2]次話
想大規模オンラインロールプレイングゲーム。

 ファンタジー特有の魔法要素は大胆にも排除され、代わりに≪ソードスキル≫という剣による必殺技が無限数に設定されている。魔法ではなくソードスキルが採用されたのは、剣を振り回して戦うというフルダイブを最大限に体感させるためというゲーマー達の気持ちを最大限に汲み取った最高にクールな理由だった。

 発表から正式サービスまでの間、俺は歯軋りをしながらβテストプレイヤーのブログ更新を待ち、更新があったら食い入るように見ていた。
 彼らのブログには様々なスクリーンショットがあった。あまりにも羨ましくて歯軋りばかりしたが、本来写真をとる行動は控えるように、と言われてきたβテスター達の献身的マナー違反行為に深く感謝もした。その画像群、もしくは公式サイト情報を見ながら色々ビルドを考えたものだった。

 それは本当の本当に楽しい毎日だった。ビルドに関しては結局のところ『誰もしない超マイナービルドでいこう』と決め、正式サービス当日を待った。

 予約は既にしていた。今となっては『初回予約が数秒で完売』と言われているが友人十人に中身のある茶封筒を渡して協力を仰げば一つぐらいは入手できるのだ。出費はちょっと多いが、アーガスにコネのない俺にできるのはそれぐらいだったし、まったく後悔はしていなかった。なんといったって俺の座右の銘は『時は金なり、然らば時を金で買うべし』だ。要約すれば『初回限定版は値段が十倍でも買え』なのだ。

 当日、の前日にパッケージが届き、最早心の友とも呼べるナーヴギアで起動しアバターを作った。
俺はキャラメイクには結構なこだわりがある。イケメンは駄目、普通なのも駄目、ロールに合わない顔も駄目、インパクトが無いのは駄目、といった感じに。
 SAOでの俺のアバターはゲスそうな盗賊顔にした。ぐりぐりとした目に痩せた顔と艶の無い焦げ茶色の髪、背こそ現実のものと変わらないがロールプレイ的にはずっと猫背の姿勢になるので背は高く感じないだろう。インパクトを求めた結果の産物で、いかにも弱小盗賊団の裏切りそうな下っ端っぽかったが、中々気に入っていた。プレイスタイルもマイナービルドでPVPを繰り返して追い剥ぎをしようと思っているぐらいだ。架空空間の中でゲスの笑みを浮かべるであろう≪スバル≫という名前のアバターに愛着を持っていた。製作時間十二時間。

 そして本日。
 二○ニニ年十一月六日、日曜日。
 午後一時に待望の≪ソードアート・オンライン≫の正式サービスが開始される。

 俺はその三時間前に朝食兼昼食を済ませ、トイレも済ませ、友人の遊びの誘いを全力で拒絶し、自分の部屋に勝手に鍵を増設して施錠し、インターネットでβテスターのブログを再確認しながら、その時を待った。

 当然、正式サービス開始時間に
[1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ