第2話:海鳴パニック!
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ねと蠢いて襲ってくる枝や根に手を焼いていた。
「うわぁっ! く、来るな!」
「た、助けてくれぇ!」
ある者はひいひい言いながらも鉄パイプを振り回して応戦し、またある者は思考を恐怖心に支配されて逃げ回り、またある者は地中から現れた根に成す術もなく巻きつかれてしまう等、ゲームの中でしかあり得ないような事態に、借金取り達は混乱せざるを得なかった。
「アニキ、な、何なんですかありゃあ!?」
「ンな事俺が知るか! クソが、海鳴の街はいったいどうなっちまったんだ!?」
アニキと呼ばれた借金取り達のリーダー格らしき男は、他の者に比べて落ち着いてはいるようだったがそれは表に出さないだけで、内心ではやはりこの異常事態に困惑していた。
「ここからじゃ事務所が遠くて武器も持ってこれねぇ……おいテツ、その辺にビンはあるか?」
「へ、へい! 焼酎のビンがありやした!」
「よし。あとはガソリンと新聞紙だが…」
「新聞紙ならありやすぜ!」
「アニキ! ポリタンクにガソリンが入ってやした!」
テツと呼ばれたチンピラ風の男は、そこかしこに赤いペンで印が付けられた競馬新聞を懐から取り出して見せ、もう一人の男は偶然近くにあった、買い置きと思われるガソリン入りのポリタンクを運んできた。
「でかしたぞテツ、ギン! これであの植物野郎に一泡吹かせてやらぁ!」
アニキは焼酎のビンの中にガソリンをこぼさないよう慎重に注ぎ込み、新聞紙を細く棒状に丸めるとそれをビンの口に差した。
世界各地で暴動の際やテロリストなどによって使用され、シベリア近辺では『モロトフ・カクテル』とも呼ばれる簡易武器、火炎瓶の完成である。
「食らいやがれ、クソ植物野郎が!」
アニキは出来上がった火炎瓶にライターで着火し、蠢く樹枝めがけて全力で投げつける。
ビンがパリンと音を立てて割れ、その瞬間、中身のガソリンが新聞紙に着いた火に引火し、太い樹枝に一瞬で燃え移って激しく炎上する。
メラメラと音を立てて燃え上がる樹枝は動きを止め、燃え移った個所から根本へ向かってどんどん延焼していく。
「アニキ! 効いてますぜ!」
「へっ、所詮は植物だ! 人間様に盾突きやがって、どんどん焼いちまえ!」
借金取り達はアニキが作成した火炎瓶を次々投擲し、襲い掛かる樹枝達を片っ端から焼き尽くしていく。焼かれた樹枝は理由は不明だが動きを止めていくようで、巻きつかれていた他の借金取り達は拘束からなんとか脱出して逃げ出していく。
調子よく樹枝を燃やしていく借金取り達ではあったが、ここで問題が発生した。
「アニキ! もう材料がありませんぜ!」
「クソッ、やっぱりありあわせの材料じゃこれが限界か!」
元々周囲に偶々あった材料で火炎瓶を作っており、
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