第2話:海鳴パニック!
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初めまして、高町士郎の妻、桃子です」
「流竜馬だ。桃子さん、よろしく頼むぜ」
「こちらこそどうぞよろしく。もう少しでご飯になりますから、ゆっくりしてくださいね」
「そうかい、じゃあ失礼するぜ」
竜馬はベージュの大きなL字型のソファーに腰かける。
士郎と恭也もその近くに座り、さらに士郎はいつの間に用意したのか日本酒とグラスを二つ取り出して、日本酒の注がれたグラスの片方を竜馬に渡すと、乾物をつまみに談笑を始めた。
(…なのは、部屋でユーノを見ていてやってくれ)
(はい、わかりました)
竜馬はなのはに念話を飛ばし、話が込み入る可能性があることを考慮して、なのはをユーノの看病も兼ねて部屋へ行くように告げる。
(それと、夕飯の後にお前と話がしたい。構わねぇか?)
(あ、はい、大丈夫です。じゃあ後で私の部屋に来てください)
(ああ、了解だ)
竜馬がなのはにもう一度念話を飛ばし、なのはがリビングを出て丁度、士郎が竜馬に話題を振った。
「ところで竜馬さん、空手の流派は何です?」
「流派か…親父も死んじまったし、今となっちゃ分からねぇな」
「そうでしたか…ん? 流? 亡くなった…?」
士郎は竜馬の苗字と語りから、かつてあらゆる意味で名を馳せた、とある空手家の名前を思い出した。
「…竜馬さん、失礼ですが、あなたのお父上というのはもしや、流一岩氏では?」
士郎がそう訊ねると、日本酒を口に運んでいた竜馬の眉がピクッと動いた。
「…ああ、そうだ。俺の親父の名は流一岩だ」
「父さん、その…流一岩というのは?」
流一岩という名前に聞き覚えがない恭也が、士郎に訊ねる。
「お前が小さかった頃、狂人空手家として異端児と呼ばれ、空手界を追放された達人中の達人――それが流一岩だ」
「そして親父は死に、スパルタ教育で空手を仕込まれた俺は、親父を追放した空手界に復讐するために大会に乱入し、参加者全員を叩きのめした…。それがこの俺、流竜馬って訳だ」
士郎が自分の知る限りの説明をした後、それに竜馬が付け加える。
竜馬はグラスの日本酒をグイッと一気に飲み干し、空になったグラスを机に静かに置いてから続ける。
「幻滅したか? お前の可愛い妹を助けたのが、こんな武道家の風上にも置けない人間で?」
「…いえ、あなたが言うようにあなたが武道家として最低だとしても、妹を助けた恩人であることに変わりはありません。それに――」
恭也は一呼吸おいてから竜馬の目を見て続ける。
「――あなたの目を見れば、悪い人間じゃないことぐらいはわかりますよ」
「へっ、言うじゃねぇか。気に入ったぜ、後で稽古を見せてもらっても構わねぇか?」
「ええ。是非、お願いします」
竜馬と恭也は互いを認め
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