第二章 ソロプレイヤー〈ナナシ〉
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。これ、報酬金」
メニューを操作して、〈フラン → ナナシ〉と俺の所に金が振り込まれた。
「……頼んでおいてアレだけど、よくこんな依頼受けたよね」
「まぁ、レベル上げついでだと思えば大した事じゃない。それに唯一コンプできる可能性があるからな」
「……それにしては、無茶な戦い方をしているようね」
その言葉を聞いて俺はつい目の前の店主、フランを睨み付けていた。
「悪いか?」
「……いいえ、悪くはないわ。ただ一対多の状況を故意に作ってまでしてレベルを上げる意味が理解できないだけよ。だったら、パーティを組んだ方がよっぽど効率が良いもの」
「いつから俺のやり方を詮索するようになったんだ?」
「……誤解だわ。情報が勝手に入ってくるだけ」
そう言ってフランはぷいっ、と小さく背けた。フードで表情は見えないがたぶん怒っている。彼女なりの気遣いを咎めてしまったんだと理解するのにそう時間はかからなかった。
どうしたものか……。
「あ〜、悪かったよ。お詫び代わりにこれ置いていく」
俺はメニュー画面を操作して手に入れたばかりのアイテムをオブジェクトとして実体化させカウンターの上に置いた。
「……これって」
置かれた物を見てフラン言葉を詰まらせる。
それは一本の剣。剣と言っても浅黒い骨が脊柱のように連なった形状の武器だ。形状と見た目が俺の趣味ではなかったため、ストレージの肥やしになるはずだった物だ。譲っても構わなかった。
「……これ、《凶骨剣 ネクロマンシィ》。レアドロップ武器の一振り」
レアアイテムだったか。だが、出した物を引っ込めるのもアレだ。
「じゃーな。また何かあったらよろしく頼む」
そう言って入り口に向かおうとした。が、即座に腕を掴まれた。その手は思った以上に小さい。
「何だ、それじゃ足らなかったか?」
「…………ない………」
「何だって?」
蚊の鳴くような声で聞き取れない。それから彼女はもう一度、今度はハッキリ言った。
「……こんな凄いアイテム、簡単に受け取れない!」
「いや、俺必要ないし。今回のデータ収集の一巻だと思って―――」
「……依頼したのは固体データだけ。ドロップしたアイテムまでは貰えない。ワタシだって情報屋の端くれ、依頼以上の物は求めないわ」
その時、彼女の瞳が一瞬だが見えた。フードの奥に覗く碧玉のようなその瞳は本気である事を俺に訴えかけていた。
しかし俺とて『解かったよ』なんて言って引き下がれるほど器用ではない。
さて、どうしたものか……。
そんな煮え切らない俺にフランは一つの提案を出した。
「……なら、交換しましょう」
「交換?」
「……
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