暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン 〜深淵の藍〜
第二章 ソロプレイヤー〈ナナシ〉
[1/4]

[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話
 2023年3月18日 第8層・墓場草原

 一面を灰色の草原の広がるフィールドダンジョン。しかし、目を凝らせばすぐに解る。生えているのは草ではなく、古ぼけた細木で作られた夥しい数の墓標。それが地平線の果てまで立ち尽くしていた。
 そんな場所を俺は疾走している。その後をしつこく追いかけて来る奴らがいるからだ。
 銅色の兜を被り、白骨の手で刃こぼれした剣を握るモンスター《アンデット・ソルジャー》。それが計三体、現在進行形で襲ってきている。
 このフィールドでは低級モンスターの部類にはいるが、それはパーティで挑んでいればの話だ。
 生憎と俺はソロ。助けてくれる仲間はいない。故に一対多の戦い方は心得ているつもりだ。
 素早く方向を転換し、モンスター達に向かって突っ込む。当然、連中も俺を殺るつもりでボロい獲物を振り上げる。馬鹿な奴と言いたげにカタカタと歯を打合せる音が酷く耳障りだ。

「疾っ!」

 鋭く息を吐き、迫る三体の動きを洞察しつつ接近する。


 ソロの戦い方 その一。『相手をよく見て、最も動作の遅い敵から攻撃する』


 こちらはすでに攻撃モーションに入っている。それに対してモンスターも反撃しようとモーションを起こす。だが一番速く動くのは一番接敵しているモンスターだ。後方にいればそれだけ反応が遅れる。そこがチャンスだ。
 俺の曲剣《ハルパーサーベル》がソードスキル発動と同時に青い光を放つ。狙いは動作の遅かった右の一体。
 カカッ、と笑う先頭の骸骨が振り下す獲物が輝く。ソードスキルだ。
 剣速はそれなりに速い。だが俺の目にはそこまで速くは見えなかった。

 ―――ザクッ!

 斬撃が防具を掠めた。命たるHPゲージに変化はないが、すべて失えば死に直結するのがこのゲームの絶対的ルール。

「まず、一体目…」

 そんな事はどうでもよかった。ただ目の前の敵を倒す。それが生き延びるための絶対的手段なのだ。
 俺の刃が骸骨の首を両断する。傷口のような赤いデータエフェクトが発生して、骸骨のHPゲージが空になった。
 途端にその体が静止。硝子塊が砕けるように爆散、微細なポリゴンの欠片となって消滅した。
 そんな事で残ったモンスターの足は止まらない。俺はそのまま駆けていた。


 ソロの戦い方 そのニ。『同じ場所に留まらない。常に動き続けろ』


 俺はこの教えに従い、ひたすらヒット&ウェイを繰り返した。
 そして、残り二体を倒したのは約一五分後の事だ。




 それからさらに一時間。このフィールドに死体の山を、墓標を築き上げた。
 代償として俺のHPバーは危険域(レッド)まで達してはいたが、回復アイテムはそれなりに準備してきた。そこまでこのデスゲームを舐めてはいない。そうでなくとも
[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ