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美しき異形達
第二十三話 明るい日常その十四
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 茂みから出て来た、姿が見えない怪人が。
 夕闇の中に風の如き速さで、だがその怪人の姿は。
 突如として下から起こった光、向日葵が先程矢を放ったそこから一度に全て起こったそれで照らし出された。その姿はというと。
「あれは」
「ムササビね」
 向日葵は裕香に応えた。
「あれは」
「そうね、だから飛んでいたのね」
 そして速かったと言う裕香だった。
「見えたわ、じゃあ」
「今から」
「さて、ではね」
 向日葵は今も弓矢を構えていた、そしてその構えている弓矢を。
 凄まじい勢いとお速さで飛んで来る怪人ムササビと人の間の子の漆黒の姿のそれの額に向けてだ、ひょうと放った。すると。
 光の矢が怪人の額に刺さった、そうして。
 向日葵はその突進、攻撃を受けても勢いはそのままの怪人のそれを身体を右に動かしてかわした。その後ろで。 
 凄まじい衝撃音が起こった、その音を聞く形で後ろを振り向くと。
 北斗七星、向日葵の星の符合が橙色で宙に浮かび上がっていた。向日葵はその夕闇の中に輝く符号を見て笑顔で言った。
「言った通りになったわね」
「抜かったわ」
「私の力のこと、知ってたわよね」
「光ね」
「光は闇を照らすからね」
「そして闇の中にあるものも」
「だからね」
 それでだというのだ。
「貴女もね」
「こうしてなのね」
「照らし出させてもらったわ」
「光で」
「光って便利なのよ」
 自分の位からだからであるだけではない、このことは。
「何でも見せてくれるから」
「闇にあるものを」
「闇には光よ」
 まさにそれだというのだ。
「見えなければ見える様にするだけよ」
「確かにその通りね」
「そしてその通りになったわね」
「ええ、力は武器として使うだけじゃなくて」
「こうしてね」
「闘いのサポートにも使う」
「というかサポートに使ってこそみたいね」
 向日葵はにこりと笑って言った。
「力は生きるみたいね」
「そのことまで考えていなかったわ」
「力を武器としてだけに使うと思っていたのね」
「ええ、そうよ」
 怪人は自身のその落ち度を認めた、実際に彼女は向日葵は自分を撃つ為の武器としてしか光を使わないと見ていた。
 それならば勝てると思っていた、だがだった。
「見えなければ見える様にすればいい
「それだけだからね」
「そういうことね、そして闘いに勝つ」
「頭を使ってね」
「そういうことね」
「いや、よかったわ」
 こうも言う向日葵だった。
「読みが当たってね」
「そうね、残念だけれど」
 怪人はこのことを認めるしかなかった、今では。
「私の負けよ」
「そういうことね」
「貴女は私に勝ったわ、胸を張っていいわ」
「生き残ったことは喜ばせてもらうわね」
「胸は張らない
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