第十二幕その五
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「動物の皆もトミーも王子もいるからね」
「だったらよ」
「余計になんだ」
「そう、日本のあちこちに行くといいわ」
「長崎にもだね」
「長崎だけじゃないわよ」
他の場所にもというのです。
「大阪や京都には行ったわよね」
「うん、もうね」
特に大阪にはです、先生は結構行っています。
「楽しい場所だよね」
「だったらね」
それならと言うサラでした。
「もっと巡るべきよ」
「日本のあちこちを」
「旅行も学問のうちでしょ」
「その通りだよ、いいフィールドワークだよ」
「それならよ、私の分まで行ってきたらいいから」
サラは少しやっかみを入れて先生に言いました。
「折角旅行に縁があるんだからね」
「昔からね」
「サーカスしたりもしてたし」
「思えば色々してるね、僕も」
「正直兄さんどうなるのかって心配にもなったわ」
病院に動物ばかりがいる様になって患者さんが来なくなったこともあったからです、サラにしても心配だったのです。
「けれど日本で教授になって」
「王子の推薦でね」
「よかったわ、定職も出来ていいお家にも住める様になって」
「いいことだね」
「後は結婚だけね」
サラも言うのでした。
「早く相手の人見付けてね」
「サラもいつもそう言うねえ」
「当たり前よ、何時まで独身なのよ」
「何時までって言われてもね」
「とにかく早いうちにね」
何とかと言う口調で言うサラでした。
「いい人を見付けてね」
「誰かいるかな」
「誰かいるでしょ、まして今の兄さんは大学教授でしょ」
「結婚に立場が関係あるのかな」
「あるもあるも大ありよ」
サラの今の口調は断言するのでした。
「ない筈がないでしょ」
「そうなんだ」
「そうよ、定職があってしかもそのお仕事の社会的地位がいいと」
「結婚しやすいんだ」
「今の兄さんはかなりの好条件よ」
結婚相手をお仕事から見ると、というのです。
「これ以上はないまでのね」
「そうだったんだね、僕は」
「そう、だからね」
「結婚すべきなんだね」
「絶対にね、いいわね」
「いつもそう言われても」
またこう言う先生でした。
「こればかりは縁だからね」
「縁もあるけれどまずは努力よ」
「努力なんだ」
「そう、努力よ」
まさにというのです。
「結婚することもね」
「そこでも努力しないといけないんだ」
「私だって努力して結婚したのよ」
つまり頑張ったというのです。
「それに今もね」
「結婚してからもなんだ」
「そう、努力してるから」
「人生全てにおいて努力だね」
「その通りよ」
まさにというのです。
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