龍と覇王は天前にて
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予測を話し合い、こうなればこうしようと言い合っただけでは後々にどうとでも出来る。
白蓮も雪蓮達も、袁家への警戒が“行き過ぎて”いたのだ。
――代わりに袁術を討ち取る事になるのだから、前払いとして、孫策には自力で乗り越えて貰いましょうか。
華琳が組み立てたのは強引な貸しの取り立て……踏み倒すという選択を与えない程に追い込んだ上での。
劉協が華琳に説明せよと言った。よって、劉表は口を挟めない。覇王の独壇場はまだ続く。
「公孫賛が敗北したとほぼ同時に、徐州では徐公明が孫権を跳ね除けた……それが私の得た情報でありますが……」
その言葉が発されると、劉協は目を細めた。
微細な空気の変化を受けて、俯いたままの華琳は満足気に口角をほんの少し上げる。
「孫権の敗北により、袁術は荊州に侵攻させていた孫策を呼び寄せ、大軍を以って徐州を攻めるを決めたとか。此処からは部下に加わった鳳統と、“我が盟友である徐公明”の証言を入れましょう。
劉備は徐公明と鳳統を労いの為に呼び戻し、大軍を以って袁術軍に当たるを決めた、とのこと。徐公明と、劉備に保護された公孫賛は、地位が違えど深く絆の結ばれた友と聞き及んでおります。互いの生存に分かち合う涙もあり、公孫賛が徐公明に思わず零してしまった敗走の無念と臣下達への懺悔を込めた慟哭は城中に響き渡っていたようで……」
儒教の思想が根強い者達に対して聞こえがいい情報を投げ込んだ。
客分として置いてある事と、色々と利用しやすい為に盟友と示したが……華琳の胸に彼に対する苛立ちが湧く。
――あの大嘘つきが私の盟友……本人を知っていると無理がある。対等な関係なんてモノは……ありえない。
隙だらけな緩い彼を思い出してしまい、ひくつきそうになる頬をどうにか抑え、続けて行く。
「そんな折です。まだ公孫賛の傷も癒えぬ内に袁紹軍が徐州侵攻を開始。徐公明は公孫賛を気遣って劉備の元に送り、鳳統と配下の兵七千と共に袁紹軍に相対するを決めました」
劉表以外はもはや華琳の話の虜だった。ゴクリと生唾を呑み込むモノ多数。此処が一番、聞きたい所なのだから。
「劉備からの助力申請が届いたのはこの頃」
まさか、と劉表は息を呑む。
――曹操軍と劉備軍で行われた交渉の話は此処ではしちゃダメだろうが。同盟を組まずに通行許可を与えたのがお前となれば、責められるのもお前だぜ? 勅無く任地を放棄させたんだからな。
それはもはや、帝や中央の権力が意味を為していないと宣言するに等しい。
しかし華琳は続けた。全身から、冷たい覇気を溢れさせて。
「袁家を追い返した後の徐州を対価とする……それが劉備の提案してきた同盟対価にございました。元より劉備は、陛下から与えられた任地を離れ、同じく劉の
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