第五話***理由
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目を開けると、クリーム色の天井が広がり、
首を捻ると、緑のカバーが見えた。
「……あれ、ここ、何処……ああ、昨日、妖精の尻尾に加入して」
クウヤは目を擦る。
『まだ部屋は見付かってないし、今日はオレの部屋泊まれよ、明日、寮に申請しよう』
昨日、金髪の先輩魔導士が言ってくれた事を思い返す。
「……そうそう、マックスさんの部屋に泊まったんだ」
借りた毛布を退かし、寝ていたソファーから降りる。
マックスはベッドを貸すと言ってくれたが、それを断り、ベッドで寝た。
緑色のカバーが掛かった肘掛け付きのベッドは高級品なのだろうか、良く眠れたし、首や肩が痛くなる事もない。
クウヤは毛布を畳みながら思い返す。
「……久しぶりにあの時の夢、見たな。もう、三ヶ月は経ってるんだけど」
クウヤは依頼をこなしながらーーーーといっても討伐等は稀でお使いや、薬草採集が主だがーーーー三ヶ月は過ごしている。
最初の一ヶ月程は毎日父の死体や姉を夢に見たが、今頃は夢も見なかった。
「……姉さん……何処に居るだろう、影の狩人……」
両親を殺し、姉を拐ったギルドの名前を思い出す。
「絶対殺し……てはいけない、評議院に送ってーーーー」
そこでクウヤは考える。
(どうするんだろう)
(オレは評議院に送ってどうするのかな)
(姉さんがーーーー父さんが母さんが戻ってくるワケでもないのに)
(償ってほしいのかな)
(復讐……したいのか?)
(もう、オレのようなーーーー父さんや母さん、姉さんのような犠牲者を出したくないのかな)
(どういう事)
(なんでなんでなんでなんでーーーーーーーー)
『煩いな、まだ五時だぞ、もう少し寝かせろ』
「スカイ……?」
『己とお前は繋がっているんだ、そう考え込まれると煩い……
だから、アドバイスしてやる』
「は?」
『お前は、もうギルドに入っている、そのギルドマークが証だ。だから、奴隷商なんて事してるギルド叩き潰すのに理由なんて必要ないだろう。
依頼もらって、仕事だから叩き潰す。
それでいいのではないか?
どうせ影の狩人も闇ギルドだ。
正規ギルドがそれを潰すのに理由等必要ないだろう』
「あ……確かに」
ストン、とその理論はクウヤに埋まった。
『まあ、これをどう受け取るかはお前次第だがな。では己はもう少し寝る。起こすなよ』
スカイの声が聞こえなくなる。
クウヤは、よし、と呟き、顔を洗いに行った。
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