現実と仮想
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乃に会いに来れた」
すると、詩乃は微笑み、言う。
「優しい人なんですね、その人」
「……ああ。憧れるほどに」
俺はそう言うとポケットに手を入れ、息を吐く。
「あ、そう言えば詩乃。叔父さん叔母さんは元気?」
「うん。一応は」
詩乃は関心の無さそうに言う。
そう言えば、詩乃が今通っている高校は、その叔父さん叔母さんに怒られ、泣かれた事があるのだった。
第三者から見れば、随分と身勝手な様な気がするが、詩乃が不満を漏らさないのであれば俺もそこまで言わない様にしてる。
「一応は……って、今何処住み?」
「駅に近いアパートを借りてる」
「アパートって……バイトでもしてるのか?」
「バイト……なのかな。多分」
俺はそれを聞くと苦笑する。
「バイトって言わないならバイトって言わないよ、詩乃」
俺はそう言うと、「ちょっと待ってて」と言い、雷狼号を持ってくる。
「それ……その人の物だよね。大丈夫なの……?」
「一応は、な。顔も似てるし、いざとなれば免許証と髪の色が違うだけで平気だしな」
俺は笑いながら詩乃にヘルメットを投げる。
「付けられるか?」
「う、うん」
詩乃はたどたどしくヘルメットを被り、乗り込む。
「さて、近くのアパートだったよな。そこまで送るよ。念のため」
「黒鉄さんって、本当に過保護」
詩乃の言葉に笑いで返しながら、俺はエンジンを吹かし、詩乃アパートまで走らせた。
詩乃をアパートまで送った後、俺は近くの自動販売機でブラックコーヒーを買い、飲んでいた。
「………多分、もって二年ちょいって所か」
俺は呟く。
二年。それがダーク(おれ)としての寿命だ。
俺は元々死んだ身、その魂が生きてる人間に憑依している存在なだけ。
ロードやあいつは元々ライト自身の人格であり、俺はそこに居座った形になる。
黒鉄翔夜ーーーーこれが俺の本来の名前。
意味は………今ではもう忘れてしまった。
だが、俺は現実に残りたいと思ったからここにいる。仮想世界では殺戮者と呼ばれている存在が、現実世界では実体を持たない人ならざる者。
それが今の俺だ。
「分かってる……ここに居ちゃ行けねぇって事は………。でも、神さん。二年だけ、待っててくれ。ダチを助けねぇで死ぬっつうのは……嫌なんだ」
ダークとしての最後の勤め。それはSAO生還者の救出。
それが終われば、二年を待たずとも俺は消える。
例え、俺が残り二年をコイツを使って過ごすとする。……コイツから離れたあと、どんな後遺症が残るか分からな
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