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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第二百六十四話  憂鬱
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わないだろう。でも悲しそうな顔をするだろうな。見たくないんだよ、ユスティーナのそんな顔は。今だって心配かけまくりなんだから。……頭が痛くなってきた、ミュッケンベルガーに相談してみようか。

地球を制圧してから一カ月か。そろそろ地球教の残党もフェザーンに集結したころだろう。帝国の出兵を可能にするには同盟がフェザーンの中立性の維持に失敗した、或いは反帝国的な活動を行ったとするのが妥当だ。地球教がどう動くか、ルビンスキーがそれをどう利用するか……。

地球教は現状のフェザーンには満足出来ない筈だ。フェザーンを思うように動かせない。何と言っても自治領主であるペイワードは思い通りにならないし自由惑星同盟軍が駐留している。言ってみれば占領統治下にある様なものだ。自治領主を傀儡に任せ同盟軍を撤退させる事を望む筈だ。

フェザーンの自治を回復する。帝国の自治領に復帰するか、或いは現状を利用して同盟の自治領を目指すか。そしてフェザーンを根拠地として再度地球による宇宙支配を考える。帝国と同盟の国力を考えれば帝国に戻るだろう。だが地球教にとって同盟の方が与し易い、そう思う可能性が有る。或いはルビンスキーがそう誘導するかもしれない。その方向で混乱が起きれば十分に出兵は可能だ。同盟はフェザーンの中立性を維持せず自国の利を図った、そう非難出来る。

同盟を頼るのは無理が有るかな。ペイワードの力が強くなりかねない。地球教の望むところではないだろう。となると帝国の自治領を目指す可能性が高いか……。しかし何をやるにしても邪魔になるのがペイワードだろう。地球教は必ずペイワードを排除するか取り込もうとするはずだ。

取り込むのは難しいだろう。ペイワードは自分の後ろ盾が同盟だと分かっている。その同盟が地球教を否定している以上ペイワードが地球教を受け入れる事は無い、となると排除だな。どうやって排除する? 謀殺か? 上手い手ではないな、同盟は地球教が動いたと認識するはずだ。地球教に対する追及は厳しいものになるだろう。帝国としても地球教の追及なら文句は言えない。

いや、可能性は有るか。ペイワードを謀殺して次の自治領主を長老委員会で選ぶ。当然だが地球教の操り人形だ。長老委員会がまだ地球教の影響下にあるなら可能性は有る。同盟は認めないだろう、となると混乱が生じる、中立性の維持に失敗したと非難が出来れば帝国に出兵のチャンスが生じる。ルビンスキーが誘導する。

待てよ、殺すまでも無いか。同盟から押付けられた自治領主と非難してリコールすればいいわけだ。先ずフェザーン人の間でペイワードへの不満、同盟への不満を煽る。その上でペイワードのリコールだ。同盟もペイワードも受け入れるのは難しいだろう。こっちが本筋かな。まあ中立性の維持を争点にするならそんなところか。

レムシャイド伯はオーデ
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