SS:歩き疲れた思い出
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メ口だった。同世代だと何となく分かっていたのだろう。
てっきり年下だと思っていただけに、ちょっと気まずい思いをしてしまうのだった。
= =
結局アルゴはその後に2,3のSAO過去語りに口を挟んで、どこかへと行ってしまった。
別れ際に「ロリコン扱いされないように気を付けろヨ!」と言われたが、小中学生にせがまれてお喋りするだけでロリコン扱いされても困る。別に手を出してる訳でもないし、この世界に出会いの場も求めてはいない。
「ズルいなぁ。その気になればいつでもリアルで会えるってズルい!」
「まぁ顔知ってる者同士ならそうなるが・・・ネット上の知り合いとリアルに会おうとするとトラブルの元だからな。だから俺の耳を掴むのを止めなさい」
「やだ!もうちょっと触る!!」
「子供かよ・・・」
「お兄さんよりは子供だからいいの!!」
ロボットのリモコンのようにグリグリと回される俺のロバ耳。
後ろから鷲掴みされてると、なまじ感覚があるだけに変に落ち着かなくなる。
痛くはないが、感触や体温まで伝わってきてこそばゆい。しかし――
「お前、ALOの友達とはリアルで会ったことあるんじゃないのか?リアルでも知り合いみたいな口ぶりだったけど・・・」
元攻略組の女子勢とは軒並み知り合いだったようだったし、てっきり既に会っているものだと思っていた。俺に会いたいなら知り合い経由でダイシー・カフェに呼び出す事くらい難しくはない筈だ。
それとも実はかなり遠くに住んでいるのだろうか?
だが、俺の問いにユウキの腕はピタリと止まった。
「色々あって、あんまり会えないの」
「ふーん・・・・・・ま、そういう事もあるか。リアルにもリアルの煩わしさってのがあるよな」
「うん。本当に・・・もどかしいくらいに、煩わしいよ」
そんなことを言いながらユウキは耳を離してすたすたと歩きだした。
その先には現実世界では見れない見事な夕焼けが輝いている。
都会の夕暮れも中々絵になるが、このゲームの夕焼けもいいものだ。
噂によるとALO世界の風景を納めた写真集が売れているという話も聞く。
そんな夕焼けを前にすると、一つあれを歌ってみたくなった。
「じゃ、ライブ前に一曲いくか」
「今日はどんな曲?」
「聞いて確かめろ。・・・なんてな」
最早リアルのギターより触り慣れた弦を弾く。
もう彼女に聞かせる曲も何曲目になるだろう。そんなことを考えながら、歌う。
物事はぜんぶはっきりしなきゃいけない訳じゃないんだ――
あやふやでいいしなんとなくでもいい、それでも幸せになれる――
いつだって俺達は独りぼっちじゃないんだってウィンク飛ばしてやるさ――
人生は夢でも幻でもない、俺達は確かに今を生きてる――
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