僕がここにいる理由
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るなら、ここに来る前の方がまだマシだったかもしれない。
できないことを全部知っていたあの頃……でも、今はもっとできないことを知ってしまった。
自分の無能さがさらに強まってしまった事実から目を逸らしたい気持ちを感じながら。
もう一度、僕は考える……なんで僕がこの世界に呼ばれたのか……
この世界に来た時に聞こえた声の主に聞けばわかるだろうか……
考え疲れた頃……ふと、僕は願ってみることにした。
「自分自身が欲しい……自分に自信が持てるような……そんな自分が」
その時……
「っ!?」
僕はどこか、見たことのない場所に来ていた。暗くて、冷たくて……寂しい場所。
「ここは……」
立ち上がり、周りを見回す。見回す限り、全てが同じ景色だった。
『ごめんね…』
聞いた覚えのある声が聞こえた……声が聞こえた方を見るとそこには、見たことのある女性がいた。
「貴女は……」
夢で見た、女性がいた。
『ごめんね……私の身勝手な思いを貴方に押し付けて……』
なんとなく気づいていた……この人の願いが僕をここに連れてきたのだと。でも……納得できないことがある。
「聞きたいこともあるけど……一ついいかな?」
『なに…かな?』
「なんで僕なの?……どうして僕を選んだの?」
女性は俯き、その後、僕のことをしっかりと見つめ……口を開いた。
『私の夢を見た貴方なら知ってるよね……私がどんな姿でもいいから友達に会いたいって』
僕は頷く。
『その夢は叶ったといえば叶ったんだ……』
「それって……」
『うん……貴方は私の生まれ変わりみたいなものなの…だから……』
その時、僕の中の何かが弾けた気がした。今まで疑問に思っていたことが解消されたからなのかもしれない。
自分が弱いことも……無能なことも変わっていないけれど、知ったから……自分がやらなければいけない事が、目標を知れたから……
その時、空間が歪んだ。
『もう……時間みたい……力なら私の力を貸すね……だから……お願い、図々しいけど……私の友達に……』
次の瞬間……もうあの空間はなく……目の前にはさっきまでの森の中だった。
そして、僕の気持ちはなぜか晴れ晴れとしていた。理由はわからない……けど、自分がここにいる意味を知った。
それだけで今は体が軽かった。
それから、僕の手の甲には紋章が刻まれていた。あの女性の瞳の色と同じアクアブルーの紋章が……
僕は大きく深呼吸をして、そして呟いた。
「さぁ……行こうか」
その言葉に応答するかのように、紋章が光り
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