暁 〜小説投稿サイト〜
白井雪姫先輩の比重を増やしてみた、パジャマな彼女・パラレル
第26話(最終話) 『これからの二人は』
[1/46]

[8]前話 [1] 最後
 <26話(最終話)>


 委員会活動が予定より早く終わった雪姫は、軽い足取りで天文部の部室へと向かっていた。
 気詰まりな時間が短く済んだ上に、
今日はもうないと思っていた愛しの少年との時間がとれるというのだから、
未だに恋に舞い上がり続けている少女としては、ご機嫌にならない筈はなくて。

 浮かれた気分のまま部室にたどり着くと、ドアを開く為に手を伸ばして、
その瞬間、ドン、と部屋の中から何かがドアにぶつかってきた事に、ビクリとして手を引っ込めた。
 そして何事かと思う間もなく、硝子の強い声が漏れ聞こえてきて。
何やら自分の事や、告白について怒っている様子だとわかってドキリとした。

──えっ……ど、どうして硝子ちゃんが……?

 自分の告白についてこんなに声を荒げているのか。それに、まくらの名前も出ていたような。
 突然の事で、硝子の言葉の全てを飲み込めてはいなかったけれど、
自分と計佑の関係についての話というのなら、気にならない筈がなかった。

 そしてその中でも、硝子の最後の言葉、
『一ヶ月過ぎても答えが出せないのは本当に鈍いせいなのか』
これはしっかりと聞き取れた部分だったし、──あまりにも、気になりすぎる内容だった。

 不作法な事は重々承知で、ついつい息を潜めてドアに耳を近づけた。
やがて、硝子が今度は落ち着いた声で計佑に尋ねて。その内容にまたドキリとした。
かつて、自分も計佑に同じような質問をして。そして、安心出来る答えをはっきりともらっていた。
だから、今さら聞くまでもない話で、何も不安に思うことはない筈なのに。
何故か耳が離せず、そして胸がザワついた。

──そして、少年が口にした答えは、一瞬だけ雪姫を安心させて。

……すぐに、奈落へと叩き落としたのだった。

─────────────────────────────────

 その後、雪姫はどうやって帰宅したのか覚えていなかった。
気がついたら自室のベッドの上にいて、先日計佑に買ってもらったばかりのぬいぐるみを抱きしめていた。
 室内はもう真っ暗になっていて、随分と長い間自分が呆けていた事を知らせてくれた。
 アリスは、久々に実家に帰るという予定があったから、とっくにこの家は出ているだろう。
父も母も今日は帰りが遅い筈で、普段の雪姫であれば、広い家で夜一人きり、という状況に
不安を覚えて、見るつもりがなくともテレビを大音量でつけるなどしているところだったが、
この時の雪姫は明かりすらつけずに、ただただベッドの上で丸くなり続けていた。

「ひどいよ……散々期待もたせといて、今さらそんなのってないよ……」

──初恋なんかまだって言ってたくせに。本当は、とっくの昔から好きな人がいて。
──ただ
[8]前話 [1] 最後


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ