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戦国異伝
第百七十九話 集まる者達その七

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「それもまた」
「そういえば十字架もですな」
「ありますな」
「まさにあらゆる神仏がです」
 あらゆる宗教のだ。
「集まりです」
「国の心の臓である都を」
 榊原もこれはわかった。
「守っておりますか」
「それが安土城かと」
「そこまで考えておられるとは」
 信長が、だ。
「凄き方ですな」
「我等の予想を超えておりますな」
「はい、全く以て」
 榊原は唸る様にして述べた。
「まさに天下の大器ですな」
「殿に負けぬ程の」
「ですな、ではこれより」
「その右大臣殿の宴に」
 当然ながら榊原も出るのだった、そうした話をしてだった。
 彼もまた信長の器を知った、そしてその彼等がいる安土城にだ。
 信行も来た、傍らには信広がいる。彼は馬に乗りながらやはり馬上にいる弟に対して微笑みを向けて言った。
「御主も来たな」
「はい、兄上からのお招きに応じ
「石山は家臣達に任せてじゃな」
「今は安土に参りました」
 そうしたとだ、微笑んで答えた信広だった。
「こうしてです」
「左様か、わしもじゃ」
「兄上もですか」
「兄上に呼ばれてな」
 そうしてというのだ、信行もまた。
「こちらに参った」
「そうですな」
「うむ、しかし」
 ここで信行は城を見上げた、そうして唸る顔と声で言った。
「凄い城じゃのう」
「ですな、こうした城を築かれるとは」
「流石兄上じゃ」
「突拍子もありませんな」
「全くじゃ」
 流石とだ、信行は己の顔に書いていた。
「兄上ならばこそじゃ」
「あれは天主閣というそうですな」
「そうらしいのう」
「大きな櫓かといいますと」
「似ておるがな」
「また違いますな」
「寺の塔も思わせるが」
 それでもだというのだ。
「それともまた違う」
「絢爛たるものですな」
「うむ、青瓦に朱塗りに金箔にな」
「まるで御殿の様ですな」
「それでいて雄々しくもある」
 絢爛であると共に、というのだ。
「見事なものじゃ」
「あれがあの城を表しておりますな」
「安土城をな」
「左様ですな、兄上はあの天主におられるとか」
「あそこで暮らしておられるのじゃな」
「そう聞いております」
「お屋敷ではなく、じゃな」
 信行はその天主閣を見上げながら弟に応えた。
「左様じゃな」
「あの天主はお屋敷でもあるのですな」
「兄上にとってはそうじゃな」
「天の主ですか」
 こうも言う信広だった。
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