第二十三話 明るい日常その十二
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「それが私の闘い方だから」
「それでなのね」
「けれどいることは確かよ」
「それで私をなのね」
「倒すわ」
必ずだ、そうするというのだ。
「いいわね」
「ええ、闘うのならね」
それならと言う向日葵だった、そうして。
弓矢を構える、そうして相手の気配を探り続ける。裕香はその向日葵に対して後ろから心配しつつ言った。
「怪人が出て来ないけれど」
「それがスタイルみたいね」
「闘い方って言ってるわね」
「まあね、こうした闘い方もね」
「あるのね」
「ゲリラ戦術っていうの?」
向日葵はこうした言葉を出した。
「これって」
「そう言うなら言うといいわ」
これが怪人の返事だった。まだ姿を見せていない彼女の。
「実際にそれになるわね」
「そうよね、若しくは」
「獲物を狙っているのよ」
「それでその獲物が」
「貴女よ」
他ならぬ向日葵自身だというのだ。
「そうなるわ」
「少なくとも私今回は自分からは攻められないわね」
「その通りよ」
「そうよね、私は貴女の姿は見えなくて」
「私は見えているわ」
その違いがあるというのだ。
「つまりその分だけね」
「私の方が不利ね」
「そういうことよ」
「困ったわね」
向日葵は周囲を見回した、もうすっかり暗くなっている。まだ夜にはなっていないが夕闇は濃くなっていて紫から黒になろうとしている。
しかも周りは木々や茂みが多い、これではだった。
「見えないわ」
「そう、見えないということだけね」
「耳もあるけれど」
ついでに言えば気配も察することが出来るがだ。
「それでもね」
「目は大事よね」
「闘うのなら特にね」
「私は見えているわよ」
怪人の方はというのだ。
「貴女をしっかりとね」
「そうよね」
「勝てないわよ」
怪人の声が笑っていた、己の勝利を感じて。
「貴女は」
「ううん、ちょっとまずいのは確かよね」
「かなりね。覚悟はいいかしら」
「ちょっとまずいけれど」
それでもと返す向日葵だった。
「諦めたらそれで終わりだからね」
「覚悟はしていないというのね」
「実はね」
その通りだとだ、向日葵は怪人の声に笑顔で返した。
「そうなのよ」
「ではどうするのかしら」
「来たらね」
その時にというのだ。
「わかるかもね」
「わかる筈がないわ。それではね」
声はまだ笑っていた、そうして。
何かが出て来た、茂みの中から。
その何かは一直線に向日葵に向かって飛んで来る、巨大な黒い影だが。
姿は濃い夕闇の中に溶け込んでいて見えない、それでだった。
向日葵は攻撃を出来なかった、かろうじてその突進を紙一重でかわせただけだった。その影は向こう側の茂みに飛び込んでだった。
再び来た、向日
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