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白井雪姫先輩の比重を増やしてみた、パジャマな彼女・パラレル
第25話-2 『ようやく気付いた、真実<ほんとう>の気持ち』
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で忘れていたんじゃなかろうか……
そんな風に感謝しつつ始めた話題だったが、途端、雪姫の首がガクンと倒れ、肩も落ちて、背中も丸まった。

「……だよね〜……計佑くんだもんね〜……結局、いつも通りのパターンに決まってるよね〜……
……私も、いい加減学習しないかな〜……」

 力ない声で、雪姫がつぶやいて。

「……あの、先輩? どうかしました……?」

 いきなり萎れてしまった雪姫に戸惑っていると、やがて苦笑を浮かべた雪姫が顔を上げてきた。

「まあ、今日はとっても楽しかったし。これ以上贅沢言えないよね。……長期戦なのは、覚悟してたんだしっ」
「……はあ……?」

 計佑には意味のわからない内容だったけれど、言い切った雪姫は苦笑から苦味を消し去ると。

「それで……? まくらちゃんがどうしたの?」
「あ、はい。実は──」

──まくらが引っ越すこと。
──最近の自分の態度、特にアリスに対するそれに関して、不満があったらしい事。
──自分たちとの生活に『疲れた』などと口にしたこと。

 それらを雪姫に語った。
 自分ではどうしても分からない事がある。
けれど母は教える気はないといい、硝子なら理解るのではないかとも思うのだが、
『合宿から帰ったらすぐに話す』という約束を破ってしまった以上、どうにも聞きづらい。
 あの日には、硝子からも計佑の体調を心配するメールが何度か届いていたし電話だってあったくらいだから、
事情はわかってくれているだろうし、怒ってもいないだろうとは思いたいのだけれど。
 茂武市は意外と頼りにはなるが、あの友人では女心を探る話にはイマイチ心許ないし……
そういう訳で、計佑が相談できる相手はもう雪姫しかいないのだった。

 まくらの引越し話など初耳だった雪姫は、まず目を丸くして驚いて。

「……そんな。せっかく仲良くなれたのに……」

 そして悄然としてしまった。
 そんな雪姫につられるように、計佑もまた今朝の落ち込んだ気分を取り戻してしまって。
無言で俯いていたら、雪姫がハッと我に返って、

「……あっ……! ごめんね、相談してくれたのに私のほうが落ち込んじゃったりして。
……そうだね、私が力になれるか自信はないけど、一緒に考えてみよう?」

 そんな風に計佑の顔を覗きこんで、力づけてきてくれた。

「……ありがとうございます。なんか合宿の時から、先輩にはお世話になりっぱなしですね」
「……そんな。こんなの全然だよ。私が計佑くんにもらってきたものに比べたら……」

 面映くて、頭をかきながら礼を口にすると、雪姫もまた照れくさそうに笑って。
二人の間から、重い空気は一掃されるのだった。

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