暁 〜小説投稿サイト〜
白井雪姫先輩の比重を増やしてみた、パジャマな彼女・パラレル
第25話-2 『ようやく気付いた、真実<ほんとう>の気持ち』
[20/29]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
いけど、でも間に合うとしたら、合宿から帰った日がリミットだったのに」
「……それは」
「──ごめん、わかってる。
あの日の目覚くん、普通じゃなかったもんね……電話越しでもはっきりわかるくらい。
何言っても怒鳴りつけても、生返事すらろくになかったもの……
体調の事だったんならどうしようもないって、わかってるんだけど。
……でも。どうしてあんなタイミングで、って思うと……やっぱり……」

 硝子が唇を噛み締めて俯いて。
それに関しては計佑とて全くの同感ではあったけれど、何も言えなかった。

 しばらくの間お互いに無言で過ごして、ようやくまた計佑が口を開く。

「……須々野さんなら、わかってるんでしょ? まくらが何で苦しんでるのか、って」
「…………」

 無言で視線をそらすその仕草は、肯定を意味していた。

「合宿の時にもこんな話したよね。この話題も……やっぱり、まくらを怒らせちゃうとか?」
「…………」

 貫かれる無言。──つまり、また肯定。

「……そっか。じゃあやっぱり聞くわけにはいかないね」

 自分の不始末で、硝子に迷惑をかける訳にはいかない。
諦めて、もう帰ろうと椅子を後ろに引いた所で、

「──待って、目覚くん」

 硝子が俯いていた顔を上げて、こちらをまっすぐに見つめてきていた。

「目覚くんは。……知りたいって、本当にそう思ってるんだよね?」
「……そりゃあ……知りたいけど、でも──」

──『でも、須々野さんに迷惑かける訳には』
そう続けようとしたところで、硝子が首を左右に振った。

「ううん、いいの。
……だって、本当は私だって目覚くんにはちゃんと知ってほしいんだもの。
……そう、ちゃんと知って、 なんで目覚くんも今苦しいのか、
その本当の理由を……自覚してくれなきゃ、むしろ許せない気もしてるから」

 そう言い切った瞬間、硝子の眼光が鋭くなった気がした。
けれど、この時は計佑も怯んだりはせずに。

「うん……わかった」

 居住まいを正した。そして、

「結論から言うと、まくらは目覚くんの事が好きだったの」

 硝子のその言葉に、

「……は?」

 間の抜けた声しか返せなかった。

「……ん? ああいや、そりゃまあ長いコト上手く家族やれてたし、
それはわかってるつもりだけど。でもそれが──」
「とぼけないで、目覚くん。そういう意味の『好き』じゃない事くらい、わかってるでしょう?」

 繰り返されて、そして硝子の言いたい事を理解して、──その瞬間、失望した。

「……またそれかよ……」

 溜息が出た。
こちらは縋る思いで尋ねたのに。
なんでそんな馬鹿げた答えを返すのかと呆れて、今度こそガタンと
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ