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白井雪姫先輩の比重を増やしてみた、パジャマな彼女・パラレル
第25話-1 『冷め切ったまくら。雪姫との初めてのデート。「計佑くんの手……私の大好きな、計佑くんの手だ……!」』
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 <25話-1>


 朝、目を覚ました計佑は、まず自分の状態を顧みて、それから安心の溜息をついた。

「……よかった。一応、いつも通りには戻れたみたいだな……」

 二日前の深夜、まるでどこか壊れてしまったかのように泣き崩れてしまってからずっと、
まともな精神状態ではいられなかった。

 あの晩、日が昇る前にはどうにか泣き止めたのだけれど、それでも心はどこかおかしくなったままで。
余りにも泣きすぎて、感情が麻痺してしまったのか──もう、ぼーっと呆け続ける事しか出来なくなっていた。

 雪姫に散々縋り付いて、みっともなく泣き続けて、
恥ずかしくて堪らないのが当たり前だろうところなのに、そんな感情すら湧いてこなくて。
 辛うじて、迷惑をかけてしまった事を詫びるくらいは出来たような気がするが……それすらも
ぼんやりとした記憶しかない。
 雪姫に何があったのかと聞かれても、それにすら答えられなくて。
……そう、答えられる訳がなかった。計佑自身も、何も覚えていなかったからだ。
 自分が何故グラウンドなどに来ていたのか、何が悲しかったのか、まるでわからなかった。
霞んだ意識では、思い出そうと試みる気力すら湧かなくて。
そんな風に呆け続けて、危なっかしい計佑だったから、心配した雪姫に送り出されて。
せっかくの合宿だったのに、皆が起きだす前に早退する羽目になった。
 幸い、まくらも早々と目を覚ましていたようだったので、まくらが付き添ってくれたのだけれど。
……そう言えば、帰りの道中、まくらも全然口を開かなかった気がする。
まあ、あの時の自分に、まともに話をする事は多分無理だったのだろうけれど──
ともあれ、昨日は一日ぼーっとし続けて。
 またこうして朝を迎えてみて、ようやく普段の精神状態を取り戻せた事に安堵した訳だった。

──今日から、生まれて初めてのバイトなんだもんなぁ。
  初っぱなからまともに働けないとか、絶対許されねーだろ。

 昨日の自分の状態から心配だったのだろう、様子を見に来てくれた由希子に『もう大丈夫』と伝えて。
顔を洗って、服を着替えて、食卓に向かって。
そして、そこでまくらの不在に気付いた。

「あれ、おふくろ?  まくらはどうしたんだ?」
「ん? いやね、今日もなんか忙しいって話してたんだけど……どうしたんだろうね?
昨夜もくーちゃん来なかったでしょう、随分と珍しいわよね」

 言われて気が付いた。
確かに昨日、家まで送り届けてくれて以降、まくらが一度も顔を見せていなかった事に。

──……あ、そう言えば……アイツとはちょっとケンカっぽいままだったんだよな……ちゃんと話するつもりだったのに。

 硝子にも念を押されていた事だった。
 とは言え、たとえまく
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