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白井雪姫先輩の比重を増やしてみた、パジャマな彼女・パラレル
第25話-1 『冷め切ったまくら。雪姫との初めてのデート。「計佑くんの手……私の大好きな、計佑くんの手だ……!」』
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言ってたし、まさかまだ話してないとはアタシも思ってなかったんだよ」

 計佑の正面に座っている由希子は、のんびりとお茶を飲んでみせていた。

 あの後、自宅へと戻った計佑だったが、当然の事ながら怒りはまるで収まっていなかった。
やり場のない怒りを持て余して、そこでキッチンにいた母を見つけて──ここぞとばかりに、母へとその憤りをぶつけていたのだった。

「そのコトもそうだけどっ……
そもそも、なんでオフクロはそんなにあっさりしてるんだっ?
どうして、オフクロは引き止めようとかしないんだよ!」
「ちょっとちょっと。ムチャ言うんじゃないよ。
隆さんが望んで、くーちゃんも望んでるコトに、なんで他人のアタシが口出し出来るって言うんだい?」

 計佑の詰問に、由希子が苦笑してそんな風に尋ね返してくるが、
そんな母の言葉は、計佑にはまるで納得できないものだった。

──どこが他人だというのか。由希子だって、まくらの事は娘のように可愛がっていたじゃないか。
──それなのに、ずっとほったらかしにしていた父親についていくなんて話を、何故そんなにあっさり受け入れているのか。

 まだ子供の計佑には、そんな風にしか思えなかった。だから、

「おじさんが望んでる? そんな話あるかよ。そりゃまくらの方はずっと慕ってたけど、
それなのに、まくらのコトなんてずっとほったらかしにしてた人じゃないかよ」

 そんな言葉を口にしてしまって、

「……バカ言うんじゃないよ、計佑。それ以上言ったら本気で張り倒すよ」

 母親の鋭い眼光に、少年がぐっと息を呑んだ。

「……隆さんはね。くーちゃんのコトだけを支えに生きてるような人なんだよ。
同じ親であるアタシには断言出来る。
あの人以上にくーちゃんを愛している人は、この世界のドコにもいないんだよ」

──妻を亡くした時の、隆の荒れ様は本当に酷かった。
それでも、どうにか持ち直したのはまくらの存在があったからだ。
 今では、まくらの事だけを頼りに日々の激務を耐えているような人から、
娘の存在を取り上げるなんて非道な真似は、同じ親としてやれる筈もない事だった。

 そんな風に考えていた由希子からの叱責だったけれど、

「……なんだよそれ。オレには全然信じられねーし、わかんねえよ……」

 まくらを失ってしまう事に、どうしても納得できない計佑が俯いたまま呟いて、

「そりゃ16歳のアンタで理解られちゃあ、むしろ怖いけどね」

 由希子が釣り上げていた目尻を下ろして、苦笑してみせた。
そうして、母の怒気が緩んだ事でどうにか顔を上げられた計佑が、

「……まあ、おじさんの事はオレにはわからないけど。
……でも、まくらのあの言い様だって……あんまりだっ
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