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白井雪姫先輩の比重を増やしてみた、パジャマな彼女・パラレル
第25話-1 『冷め切ったまくら。雪姫との初めてのデート。「計佑くんの手……私の大好きな、計佑くんの手だ……!」』
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合宿の時の事をまだ引きずっているとは思えない。
とすると、あとはもうソフトで敗退した事しか原因が思い当たらないのだけれど。

……そう、まくら達は、あの合宿後の次の試合で、あっさり敗退してしまっていた。
 前の試合では、あれほどのピッチングを見せていたまくらだったのに、
次の試合では別人のように調子を崩していたらしく、大敗を喫してしまったのだった。

「……え……? 計佑アンタ。もしかして、まだ聞いてないのかい!?」
「は? 何をだよ」

 由希子が目を丸くしているが、計佑には何の話なのかさっぱりだった。

「……ちょっと、くーちゃん……?」

 由希子が、心持ち厳しい顔をしてまくらを見つめて、まくらはその視線から逃げるように顔を逸らした。

「……おい? 何の話だよ」

 計佑が問いかけたが、二人はしばらく口を開かなかった。

「くーちゃん……自分で話したいっていうくーちゃんの気持ちを尊重したつもりだったけど、
アタシは計佑の母親でもあるんだよ。 くーちゃんが言わないんなら、もうアタシが──」
「──待って、おばちゃん」

 まくらが、諦めたような表情で計佑のほうを見つめてきていた。

「ちゃんと話すから……計佑。私の家にきて」

─────────────────────────────────

「私、引っ越すんだ」
「……え……」

 一瞬、何を言い出したのか理解出来なかった。

「……は……? え、何の冗談……」

 呆けたような声が出たけれど、まくらの静かな表情に変化はなかった。

「おい、だから……」

 言いかけて──視線を落とした。

……わかっていた。冗談などではないことくらい──あちこちに積み上げられたダンボール箱を見せられれば。
 俯いた少年に、まくらの静かな声が覆いかぶさる。

「お父さんの仕事についていく事にしたんだ。 ……新潟のほうだよ。結構遠いね。
子供の頃からずっとこの街だったから、ちょっと不安はあるけど……」

 そんなまくらの声は、殆ど耳に入らなかった。……頭がグラグラするような気がして。

「なっ……なんで今更? どうして、ついていこうなんて……」

 どうにか声を出した。
──けれど、ドクドクと悲鳴を上げる心臓がうるさくて、自分の声なのにろくに聞き取れなかった。

「何でって、別に当たり前のことでしょ。親の転勤についていくのなんて」

 そっけないまくらの答え。けれど、そんなものに納得なんて出来る筈もなくて。

──今まで、ずっとお前のコトなんてほったらかしにしてた父親にかよ!!

 そんな言葉を口にしそうになって。ギリギリで踏みとどまった。
そんな事を口にしたら最後──父親のことを本
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