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白井雪姫先輩の比重を増やしてみた、パジャマな彼女・パラレル
第25話-1 『冷め切ったまくら。雪姫との初めてのデート。「計佑くんの手……私の大好きな、計佑くんの手だ……!」』
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が、
「……ちょっと待ちなさい、アリス」
ガシリとその肩を捕まえられて。
「……さっき、『明日から "は" そんなヒマなくて』って言ったわよね? ……どうして今日は違うの?」
雪姫に至近距離からジロリと睨みつけられ、「うっ」とアリスが呻いて。
「……今日までは、遊ぶ予定が……」
「何言ってるの!! 今すぐ、宿題始めなさい!」
「やっ、だって!! 今日は友だちと約束してるのぉ。あ、明日から! 明日から本気出すからぁ!!」
──そんな風に、ひとしきり少女たちが騒ぎあって。
久々に再逆転出来た立場を満喫した雪姫は、やがて最後に
「明日は、本当に、絶対に! 邪魔しないように。……そうしたら、宿題手伝ってあげるから」
そんな交換条件を出して、それにアリスが一も二もなく頷いて。
今度こそ何の憂いもなくなった少女が、改めて、ニコニコと上機嫌で明日の準備を始めるのだった。
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雪姫が一日千秋の思いで待ちわびていた、デート当日。
久しぶりに会った計佑は、寝不足なのか少し疲れている様子だった。
見たい映画をその場で初めて知らせると、どこかつまらなそうな態度を見せる少年に
不満を覚えたりもしたけれど、男の子をラブストーリーの映画に付き合わせようというのだから、
これは仕方ないのかもしれないと諦めて。
そしていざ始まった映画だったが、これは期待以上の面白さだった。
正直、主演女優を目当てに見に来た部分が大きかったのだけれど、
話の筋やカメラワークも素晴らしくて、いつしかうっとりと魅入ってしまっていた。
ヒロインとその恋人が、手だけで愛を語り合うシーンで雪姫も感極まって、
自然、計佑の手へと自分のそれが伸びて、
……その手を避けられた。
瞬間、陶然としていた心地から、一気に引き戻されて。
それどころか、目の前が真っ暗になっていく気がした。
もはや、映画なんて全く頭に入ってこなくて、気がついたらスタッフロールも終わって、
場内に明かりが戻っていて。逃げるように映画館を後にした。
追っては来てくれた計佑に、矢継ぎ早に話しかけた──涙声で。
なのに、自分の話には答えてくれずに、何かを切り出そうとする少年の声を──必死に遮った。
当然だった。その先なんて、絶対に聞きたくなんてなかった。
なのに、聞きたくないと全力で叫んだのに、彼は聞いてくれなくて。
そして、
「ごめんなさい」
……少年のその言葉で、雪姫の恋は終わりにされてしまった。
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