暁 〜小説投稿サイト〜
白井雪姫先輩の比重を増やしてみた、パジャマな彼女・パラレル
第25話-1 『冷め切ったまくら。雪姫との初めてのデート。「計佑くんの手……私の大好きな、計佑くんの手だ……!」』
[17/26]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
が、

「……ちょっと待ちなさい、アリス」

 ガシリとその肩を捕まえられて。

「……さっき、『明日から "は" そんなヒマなくて』って言ったわよね? ……どうして今日は違うの?」

 雪姫に至近距離からジロリと睨みつけられ、「うっ」とアリスが呻いて。

「……今日までは、遊ぶ予定が……」
「何言ってるの!! 今すぐ、宿題始めなさい!」
「やっ、だって!! 今日は友だちと約束してるのぉ。あ、明日から! 明日から本気出すからぁ!!」

──そんな風に、ひとしきり少女たちが騒ぎあって。
 久々に再逆転出来た立場を満喫した雪姫は、やがて最後に

「明日は、本当に、絶対に! 邪魔しないように。……そうしたら、宿題手伝ってあげるから」

 そんな交換条件を出して、それにアリスが一も二もなく頷いて。

 今度こそ何の憂いもなくなった少女が、改めて、ニコニコと上機嫌で明日の準備を始めるのだった。

─────────────────────────────────

 雪姫が一日千秋の思いで待ちわびていた、デート当日。

 久しぶりに会った計佑は、寝不足なのか少し疲れている様子だった。
 見たい映画をその場で初めて知らせると、どこかつまらなそうな態度を見せる少年に
不満を覚えたりもしたけれど、男の子をラブストーリーの映画に付き合わせようというのだから、
これは仕方ないのかもしれないと諦めて。

 そしていざ始まった映画だったが、これは期待以上の面白さだった。
 正直、主演女優を目当てに見に来た部分が大きかったのだけれど、
話の筋やカメラワークも素晴らしくて、いつしかうっとりと魅入ってしまっていた。

 ヒロインとその恋人が、手だけで愛を語り合うシーンで雪姫も感極まって、
自然、計佑の手へと自分のそれが伸びて、

……その手を避けられた。

 瞬間、陶然としていた心地から、一気に引き戻されて。
それどころか、目の前が真っ暗になっていく気がした。

 もはや、映画なんて全く頭に入ってこなくて、気がついたらスタッフロールも終わって、
場内に明かりが戻っていて。逃げるように映画館を後にした。

 追っては来てくれた計佑に、矢継ぎ早に話しかけた──涙声で。

 なのに、自分の話には答えてくれずに、何かを切り出そうとする少年の声を──必死に遮った。
当然だった。その先なんて、絶対に聞きたくなんてなかった。
なのに、聞きたくないと全力で叫んだのに、彼は聞いてくれなくて。

 そして、

「ごめんなさい」

……少年のその言葉で、雪姫の恋は終わりにされてしまった。




























[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ