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白井雪姫先輩の比重を増やしてみた、パジャマな彼女・パラレル
第25話-1 『冷め切ったまくら。雪姫との初めてのデート。「計佑くんの手……私の大好きな、計佑くんの手だ……!」』
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嬉しさのあまり、しばらくの間ベッドの上を転がりまわっていたけれど、

──……って、あ、あれ? デ、デートって……これが初めての計佑くんとのデートっ!?

 島での二人きり(雪姫視点では)での探索も、雪姫にとっては特別な時間だったけれど。
あれをデートとは流石に言えない。

「たっ、大変……!! 明日は、すっごく特別な日になるんじゃない……!!」

 大好きな男の子との初めてのデートで、
そして(ちゃんとした形では)初めてのプレゼントを贈ってもらえる日で、
……何よりも、とうとう応えてもらえるかもしれない日で……!!

「どっ、どうしよう……! 明日は、めいっぱいオシャレしていかないと!!」

 慌てて起き上がり、ベッドから立ち上がろうとして──その前に、ヘッドボードの小物入れを開く。

「……ふふっ。明日、キミの弟か妹がやってくるんだよ……?」

 計佑の命を守ってくれた、計佑からの初めてのプレゼントを見つめて。少女が幸せそうに微笑む。
 やがて満足したのか、小物入れを閉じると鼻歌交じりに部屋を横切り、
クローゼットを開いて服を物色し始めたのだけれど、浮かれ少女は突然、ピタリとその動きを止めた。

──……あれ……ちょっと待って。今からこんな準備とかしてたら……!?

 明日の準備は入念に行っておきたい。
 けれど、ベッドの上に何枚も服を引っ張りだしてきている所や、
浮かれきっている自分を、あの "小悪魔" に見つかったりしたら。

──意外とカンのいい小悪魔は、きっと事情を見抜いてきて、そしてニンマリと微笑みながら、

『私も、久しぶりに  "おに〜ちゃん" に会いたいな〜?
……ついてってもいーい?
あ、おねえちゃんじゃなくて "おに〜ちゃん" に訊いてようかな〜。
……優しい "おに〜ちゃん" だったら、きっとオッケーしてくれるんだろうな〜?」

 そんな風に『嫌がらせ』をしてくる未来が脳裏に浮かんで、ゾクリと背筋を震わせた。

「だっ、だめよ!!  明日は、絶対にダメなんだから!!」

……ここにはいない少女の、それも妄想でしかない姿に対して思わず叫んでしまう。ところが、

「……ん〜? どしたのおねえちゃん、随分大きな声出して。何がダメなの〜?」

 突然ガチャリとドアが開いて。
まさに今、雪姫が最も恐れていた相手──アリスが顔を出してきたのだった。
 そのあまりのタイミングのよさに、雪姫の頬がひきつり。

「えっ、あ!? な、なんでもないワヨっ!?
で、電話よ電話。カリナが、またバカな事言い出したもんだから、つい……!」
「……ケータイ、ベッドの上にあるよね?」

 咄嗟に繰り出した言い訳は、あっさりウソだと見ぬかれそうで。


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