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白井雪姫先輩の比重を増やしてみた、パジャマな彼女・パラレル
第25話-1 『冷め切ったまくら。雪姫との初めてのデート。「計佑くんの手……私の大好きな、計佑くんの手だ……!」』
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から必死に逃れようと仰け反ってみせた。

 そんな風に、暫しの間息子の狼狽えっぷりを堪能していた母親だったけれど、
やがて満足したのかニヤニヤとした笑みを消すと、

「……まー、マジメな話。アタシの口から教えてあげる気はないんだよ、くーちゃんのコトなら」
「なっ……!?」

──「冗談だろ、まだからかう気かよ」……そんな言葉は続けられなかった。
真面目な母親の顔を見れば、本気で言っていることは察せられて。

「……なんでだよ……こんな大事な話なのに、なんでそんな意地悪なマネなんて……」
「……別に、意地悪で教えないとかじゃないんだよ。
アンタがこんな風にアタシに甘えてくれんのは珍しいし、教えてやりたいとも思うけれど。
……でも、くーちゃんの気持ちも考えるとね。
やっぱり、アンタが自分で気付かなきゃいけない話なんだよ」

 困ったように苦笑しながら、由希子がそんな風に諭してきて。

「それじゃあ、アタシは仕事に行ってくるからね」

 そんな風に去ろうとした由希子に、
それでも諦めきれずに縋ろうかと考えた瞬間、ケータイがメールの着信を知らせてきた。
 狙いすましたかのようなタイミングでの着信音に水をさされて、
舌打ちしたいような気分で相手をさっと確認したが、

──えっ、先輩……!?

 直前の軽い苛つきなど完全に吹き飛んで、ドキリと心臓を高鳴らせていた。
 雪姫からの連絡は久しぶりだった。
バイトを始めて、二日目辺りまでは連絡をくれたりしていたのだけれど、
計佑が本気で疲れている様子を察して遠慮したのか、それ以降はさっぱり連絡がなくなっていた。
 もちろん計佑のほうも、家族とすらろくに会話も出来ないような状態だったので、
こちらからメールを打つという事もなく──以前の濃密な時間からすると、随分久しぶりの連絡といえるものだった。
 そんな、久しぶりの雪姫との接触に、思わず母親に詰め寄ろうとしていた事も忘れて、慌ててメールを開いた。
そこにあった文面は──

──久しぶり、計佑くん。もう元気取り戻せたかな?
──アルバイト、一昨日で終わりだったんでしょう?
──良かったら、今度一緒に映画でも観に行かない?

 要約すると、そんな内容だった。
そして、そんな文面を読んだ少年の表情には──

──……そうだ……オレも、先輩に会いたい……!!

 久しぶりに、笑みが浮かんでいた。
 計佑がバイトを始めた1番の理由は、雪姫へのプレゼントの為だった。
ちょうどいい、映画を見て、そして雪姫へのプレゼントを一緒に選んで──
そんな風に雪姫の笑顔を思い浮かべると、今朝からずっと暗く淀んでいた気分が晴れる気がして。
すぐに、返信を打ち始めた。

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