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白井雪姫先輩の比重を増やしてみた、パジャマな彼女・パラレル
第24話-2 『美月芳夏』
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 <24話-2>


 午前三時を回ろうかという頃、体育館で計佑たち六人ともが眠っていた。
特に、心労も多い一日を過ごした計佑は完全に熟睡していたのだけれど、

「──おい、起きてくれ計佑」

 そんな静かな声で、目を覚ました。

「……え? だれ……」
 
 熟睡していた所を起こされたばかりでまだ意識はぼんやりとしていたが、
その声が部員の誰のものでもない事には辛うじて気がついた。
 そこへ、声の人物の指が額へと伸びてきて──トン、と触れた瞬間、意識が一瞬で覚醒した。
ぼやけていた目も、しっかりと開いて。……そして、目の前にいた人物は、

「……え……ホ、ホタル……?」

 ここ最近は毎晩一緒に過ごしていた相手だった。でも──

「ああ、2日ぶりだな計佑──といっても、私の気分的にはもっと久しぶり、という感じもするがね」

 その姿は、旅行の時に会った、16歳──雰囲気のせいか、自分よりずっと大人びて見える──のものだった。

「話がある。とりあえず、場所を移さないか?」

 静かに微笑むホタルが、そう口にすると計佑の手を引いた。

─────────────────────────────────

 夜中にふと、半分目を覚ました雪姫は、特に意識もせずに計佑たちが寝ている方向へと寝返りをうった。
そして、寝ぼけているにも関わらず計佑の姿を探して、

──……あれ……計佑くん、は……?

 見つめる先には、一人しかいない──茂武市だけだった。
暗く距離が離れていようと、寝ぼけていようと、この少女は計佑と見間違えたりなどしなかった。見回して、

──……あ、よかった、ちゃんといた……

 計佑がちょうど体育館を出て行く所を見つけて、軽くホッとした。けれど、すぐに疑問を抱く。

──……? ジュースでも買いに行くのかな……?

 計佑が出て行ったのは、トイレがある方向ではなかった。
だとしたら、あとは買い物か、眠れなくて軽く散歩でもする気になったのだろうか、
といった可能性が思いついたのだけれど、

──……そうだ、これは……!

 一気に目が覚めた。静かに身体を起こして、そのまま立ち上がる。
見下ろして──アリスが熟睡している姿に、笑みが漏れた。何故なら、

──今なら、計佑くんと二人きりで過ごせる……!

 恋する乙女が、そんなチャンスを得て気分を弾ませない筈はなかった。
 結局昨夜も、決意虚しくグダグダになってしまった計佑との時間。
……情けないけれど、アリスがいては、もう自分は落ち着いて計佑と話す事は出来ないのかもしれない。
けれどそれなら、二人きりの時間をより多く過ごせばいいのだ。
 誤解で大泣きしてしまった日、そして昨日。

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