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白井雪姫先輩の比重を増やしてみた、パジャマな彼女・パラレル
第24話-2 『美月芳夏』
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「……これ以上語っても、どうせ理解出来んだろう? それにもう、あまり時間もなさそうだ」

 ホタルが、またどこか遠くを見やりながらそんな風に説明を切り上げてきて、

「そ、そうだな……確かに何か難しそうだ……じ、じゃあ信じるぞ? ホントに先輩の為にもなる事なんだよな?」

 やはり不安で、つい念を押してしまうとホタルが苦笑を浮かべた。

「為になる、という言い方は少し違ったかもしれんが……とにかく、今のお前達なら何の問題にもならんさ」

 答えたホタルの身体が、宙に浮き上がって。目線の高さが計佑と同じになった。

「…………」
「な、なんだ?」

 無言でじっと見つめてくるホタルに戸惑う。尋ねると、ようやくホタルが口を開いた。

「なあ……計佑。お前は今、幸せなんだよな?」
「え? そ、そりゃまあ……幸せだー! って思うような事ばっかでもないけど、
特に不満もなく生きてられるんだから、十分幸せだろうとは思う、かな……」

 いきなりの質問に、確信がないながらもそんな風に答えると、ホタルがため息をついて天を仰いだ。

「……不満がない、か……はあー……やっぱり連れていくという訳にはいかない、か……」

 そして仰いでいた顔を戻すと、

「本当は、たった今までお前を殺してしまうかどうか、まだ迷っていたんだがな」

 いきなりとんでもない爆弾を落としてきた。

「へっ……え!? えっえええ! な、なんで……あっ、やっぱり添い寝の事怒ってたのかっ!?」
 
 理由はそれしか思いつかなかったのだが、

「ふふっ……だからそれは違うというのに。
……本当、壊滅的に鈍いところも変わっていないよな、お前は……」

 笑われてしまった。
……けれど、その笑みは今まで見た中でも一番優しげで。

──な、なんだ? 殺したいなんて言っておきながら、なんでそんな笑顔なんだよ……?

 訳がわからず戸惑っている内に、ホタルの言葉が続く。

「あの世なんてモノがあるのかどうか、確信は持てないが……
もしあるのなら、お前は天国に行ってしまい、人を取り殺すような悪霊は地獄に行く羽目になるのだろう。
それでは、お前を殺してしまう意味などない。
……そうは思っても、お前を置いて行く事にはどうしても抵抗があった……」

 一息ついて、

「転生の仕組みもよくわかってはいない。
同時期に逝ったのなら、やはり同時期に転生して来れるんじゃないか? ──そんな考えもあった。
……けれど、悪霊に堕ちた存在に、転生など許されないかもしれない。そんな迷いもあって……」

 話についていけず、相槌すらうてない少年。

「……結局、わからない事だらけだというのなら、己の正直な欲求に従お
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