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白井雪姫先輩の比重を増やしてみた、パジャマな彼女・パラレル
第24話-2 『美月芳夏』
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「はあ……はあ……っ」
「……私の気持ちも考えてみろ。
こっちは100年想い続けているのに報われていないんだぞ……?
なのに悪夢一つで堪えているのだから、むしろ褒められてもいいくらいじゃないか……」
ぶつぶつと呟き続けるホタル。いつもの大人びたオーラは完全に消え、
外見年齢そのままの幼さを感じさせる佇まいは、完全に拗ねた少女のもので。
それでも、心臓すら止まりそうだった恐怖から開放されたばかりの少年に、その言動を認識する余裕はなかった。
「はあ、は……こ、これだけは絶対折れる気はねーぞ……先輩を元に戻せ」
ようやく膝から手を離して、姿勢を戻してから言い放ったが、
「断固、断る」
そっぽを向いたホタルの返答は、取り付く島もないものだった。
「な、なんでだよ……先輩が、お前に何したって言うんだよ……」
困り果てて、縋るようにそう尋ねるとホタルが顔を戻してきた。
唇を少し尖らせたその不満そうな顔は、初めて見るような子供っぽさで、少し意表を突かれる。
「……あの女は、榮治さんと他の女の間に出来た子孫なんだぞ。初めから、好きになぞなれる要素がないんだよ」
「えっ……い、いやそれは……でっでも、逆に考えたら、榮治さんの血を引いてるってコトだろ?
それに愛しさとか感じたりしないのかよ?」
強烈な嫉妬を伺わされて一瞬怯んだが、食い下がる。それでも、
「そういう風に思える女もいるだろうな。だが私は嫉妬しか覚えない気質だ」
バッサリ切り捨てられてしまって、もう何も言えなくなってしまった。
力ずくなど絶対不可能、言葉を尽くしても駄目なら、
あとは土下座でもして縋りつくしかないのか──そんな風に考えて俯きかけていたら、
ホタルが眉をひそめて困ったような声を出した。
「そんなに悲壮な顔をするな……さっきも言ったが、悪夢の一つ程度だぞ?
……それに、考えようによっては、あの女の為になる贈り物と言えなくもないんだからな」
「えっ!? な、なんだそれ。どういうコトだよ」
「前にも少し言った事はあると思うが、私が深く干渉出来る相手はお前か、まくらくらいだ。
お前が危惧しているらしい、深刻な呪いみたいなモノをかけたりなんてそもそも不可能なんだよ。
だがまあ、全く何もせずにいるというのも耐え難い。
そこで、私が世界を渡った時の残滓というか──まあ私にしか認識出来ていないモノだが、
世界同士を繋いでいる糸のようなものがあるんだよ。
それを使って、まず向こうの世界のあの女を探しだしてだな──」
そこまで語って、ホタルがぴたりと口を止めた。
しかし計佑に先を促す事は出来なかった。
……ここまでの時点で、もう理解が追いついていないからだった。
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