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白井雪姫先輩の比重を増やしてみた、パジャマな彼女・パラレル
第24話-2 『美月芳夏』
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何の話だ? 誰か起きてきたのか?」
「だがまあ、見当違いの方向だし……とりあえずは問題ないか」

 計佑の質問には答えず、相変わらず独り言のように呟いたホタルは、微笑に戻ると

「もう少し歩くとしよう。ほら、ついて来てくれ計佑」
「いっいや、だから手をだな……!」

 訴えは無視され、ぐいぐいと手を引かれ続けて。やがて二人は、グラウンドへと辿り着く。
そこでようやく、ホタルが手を離してくれた。

「ほっ……で、一体なんだよ。話があるっていうけど、こんなトコまで来る必要あったか?」

 ホタルと話している所を、まくら以外の人間に見られる訳にはいかない。
だから場所を移す事自体は望むところなのだけれど、ここまで離れる必要はあったのか? という思いもあった。

「あったんだよ。これは私には何よりも大事な事なんだ。──絶対、誰にも邪魔はさせない……」

 最後には独り言のように答えたホタルの目に、ゾクリとさせられるような気迫を感じて。
それ以上は突っ込めず、話題を変えた。

「そ、そうか……まあ、いいや。じゃあ──とりあえずは、回復おめでとうだな、ホタル!」

 ホタルの話を聞く前に、まずは祝福の言葉を贈った。

「聞かされてた予定通りって訳だな……うん、よかったよかった」
「ふむ……幼女だったままの方がお前には良かったんじゃないのか?
……随分と、子供の私を可愛がってくれていただろう」
「なっ……バ、バカ言うなよっ! 俺はそんな……」

 ホタルの言葉はからかってくるような物だったけれど、その表情は純粋な微笑で。
その雰囲気からすると、決して意地の悪い意思を込めた質問ではなかったようだけど、
『幼女──以前のまま──のほうが良かったか?』などと聞かれては、二重の意味で頷けなかった。

「……いや。まあその、確かにあのお前は、随分懐いてくれていたからさ。
もうああいうのがないんだなっていうのは、いくらかの寂しさもあったんだけどさ。
……でもこうして、元のお前に会ってみると、なんかそれはそれで嬉しいっていうか……
なんだろうな、妙に懐かしい気もしてくるんだよな……
おかしいよな、今の姿のお前と過ごした時間なんて殆どないハズなのに」

 そんな風に、照れくさいながらも正直な心情を吐露すると、
ホタルが驚いたように目を見開き、そのまま僅かの間硬直して。そして、やがて微笑に戻ると、

「……ふふ。なんだ、そんな事を考えていたのか? いいんだぞ、今の姿でも前みたいに接してやっても」

 そんな言葉と共に、本当にホタルが抱きついてきた。

「なっ、ちょ!? バっバカ、やめろよ、からかうな!?」

 慌てて身を捩ると、ホタルはあっさりと離れてはくれたが、

「……ふ
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