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白井雪姫先輩の比重を増やしてみた、パジャマな彼女・パラレル
第24話-2 『美月芳夏』
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「ああっ、ああああぁあ!!!」

 泣き喚いて、蹲ったまま雪姫の背中に手を回して、全力で引きつける。
少女のお腹に頭を押し付けて、母親を見つけた幼い迷子のように、死に物狂いで縋りついた。

「計佑くん、何があったのっ!? どうしてそんなに泣いてるの!?」

 雪姫が背中をさすってくる。それでも、何も答えられなかった。
──ここまで自分が壊れてしまった理由なんて、自分自身でもまるでわからなかったから。

 泣きじゃくりながら、雪姫の背中に爪を立てて掻きむしり、全力で少女の腹部を圧迫して。
なのに、痛みも苦しさもあるだろうに、雪姫はそれ以上は何も言わずに、背中や頭を優しく撫で続けてくれた。

「ふうっ……! うぁあああ……!!」

 それでも、嗚咽が続いてしまう。
縋る相手を得られたにも関わらず、激しい悲しみと強い寂寥感は未だ健在だった。

 やがて、ポツリ、ポツリとうなじに温かい雫が垂れ落ちてくるのを感じた。

「……な、泣かないで計佑くんっ……け、計佑くんがそんな風に泣いてたらっ、私、わたしぃ……」

 ぐすっと鼻をすすりながらの声が聞こえて、雪姫が貰い泣きを始めてしまった事に気付いた。
……それでも。
いつもなら、雪姫を泣かせてしまっている状況にじっとなんてしていられない筈だったけれど、
自身の感情が嵐に見舞われている今だけは、何も出来そうになかった。

 それに──雪姫が、形はどうあれ自分の為に泣いてくれている、
自分とこの悲しみを共有してくれている──そう思った時、
ようやく自分の中を占領していた寂しさが薄れていくのを感じて。
甘えるように、頭を雪姫に擦り付けた。

「ぐすっ……う、うんっ……わ、私はここにちゃんといるからっ、一人で泣いたりしないでぇ……」

 そんな声と共に、雪姫の身体が前に倒れる気配がして。頭が背中に乗せられるのを感じた。

「計佑くんっ……計佑くんっ……!!」

 雪姫もまた、自分の背中に縋り付いてきて、ポロポロと涙を零し続けてくる。
その涙の暖かさをシャツ越しに背中に感じて、また少し寂寥感が拭われる気がした。

「せん、ぱい……先輩っ、ごめんなさい、もう少しだけっ、このまま──」
「い、いいよっ、謝ったりなんかしないで……いくらでもっ、ずっとずっと、一緒にいるからっ……!」

 漸くどうにか口に出来た言葉に、雪姫もまたしゃくりあげながら応えてくれた。
『ずっと一緒にいるから』──その言葉を聞いて、また少し、心に平穏が戻る。
雪姫の背中にずっと立てたままだった爪先を、ようやく剥がす事が出来た。
そのまま、詫びるように背中を撫でる。
 雪姫もまた、より強く計佑の背中に縋り付いてきて、優しく背中を撫で続けてくれた。

 相変わらず
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