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白井雪姫先輩の比重を増やしてみた、パジャマな彼女・パラレル
第23話-1 『合宿初日・ソフトボール観戦「……目覚くんは、絶対後悔するから……!」』
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なかった。
 結局、計佑たち三人の中で、その一瞬のまくらの表情に気づいたのは残った後一人だけ。
その少女は、雪姫と手こそ繋いではいたが、意識はずっとまくらに置いていて。
 だから、まくらの笑顔が壊れた瞬間を決して見落とさず──すぐに計佑の様子を確認して。
そして、そっぽを向くように俯いている少年の様子に、目を剥くのだった。

─────────────────────────────────

 学校へ戻るため、バス停へと向かう雪姫達三人だったが、三人の間に漂う空気はどこか重かった。
理由は勿論、

「……ねえ計佑くん、何かあったの……? 試合が終わってから、随分元気がないみたいだけど……」

 あからさまに暗い空気を漂わせている少年のせいだった。
 試合直後、一番興奮していたのは雪姫だったが、
計佑と硝子の様子がおかしい事に気付いてからは、一人ではしゃぎ続ける事など出来る筈もなくて。
 硝子の空気がおかしいのは、どうやら計佑に端を発している事は雪姫にも察せられた。
ただ、肝心のその計佑が何故落ち込んでいるのかは、雪姫にはまるでわからなかったが──
大好きな少年の萎れ切った姿など、見ていたくない事は確かで。
 正直、いつも計佑に甘えきっている自分が慰められるか自信はなかったけれど、とにかく言葉をかけてみたのだった。

「……あ……すいません、先輩……いや、須々野さんも。
まくらが完全試合なんかやってみせて、すごい目出度いとこなのに。
オレが、なんか雰囲気ぶち壊しにしちゃって……」

 一度は顔を上げた計佑だったが、言葉の途中でまた俯いてしまう。

「うっ、ううん、そんな事……何か気分が悪いとか、体調が悪いとかじゃ……ないの?
もしそうなら、とりあえず休まないと……」
「……いえ、そういうんじゃないんです。
ただ、自分がみっともなさすぎて……自己嫌悪してただけなんです」

 そう答えて。ようやく少年がちゃんと顔を上げてきた。

「……ホント、すいませんでした。変な心配かけて」

 そう言って、立ち止まって謝ってきた少年が上げた顔には
ようやく笑顔──といっても苦笑ではあったけど──が浮かんでいて。
 空元気でしかないのだろうけど、いくらかでも立ち直ってくれたのだと、雪姫もまた立ち止まって。少し安心した。
 かつて、島での帰りには、いくら言葉を投げても沈みきった計佑には届かなかった。
 もちろん今は、あの時程落ち込んでいる様子ではなかったけれど、
それでも今、自分の言葉にちゃんと反応して、いくらかでも元気を取り戻してくれたことに、
嬉しさと少しばかりの自信も得て。声のトーンを上げて、また計佑に話しかけた。

「ううんっ、いいのいいの!! 
……あっでも、もし私が
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