20:『おいしいよ』
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こえてきそうな、極大の涙が、ユミルの見開かれた瞼から零れ落ちた。
「……………ぉ、ぃし」
宝玉のような翠の瞳から、宝石のような大粒の涙が止め処なく溢れ出し、次々と膝に落ちては光の粒に変わり、煌いては消えていく。
そして……
「――……おいしいよっ……。 ――おいしいよぉぉぉおっ……!!」
そう言って、ユミルは、大声で泣き出した。
……いや、叫び出したのだ。ユミルは今、俺達の前で初めて、心からの本心を。
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――そうだ。彼はまだ、俺達のことを信じなんてなくていい。
けど、俺達にとって、ユミルが今こうして素直に大泣きしてくれたことが、なによりも嬉しかった。
マーブルは彼の頭に手を優しく置き、それにアスナとリズベットは深く微笑み、加えてシリカはそれに貰い泣きもしながら、ピナを胸に抱きしめていた。
「……俺達も冷めないうちに食べようぜ」
俺はそう言って、そのハンバーグの皿の脇にある、自分で添えたブロッコリーを一つ摘んで、口の中へ放り込んだ。
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