二話「記憶」
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ましょう」
「ああ……」
この町の地理は知らないが、一様探してみよう。
「では、10時になったらこの公園の広場に戻ってきてください」
「わかった……」
道を忘れないよう俺は、鷹文が教えた河南子の行きそうな場所へ向かう。一つ目は駄菓子屋という小さな菓子屋だ。平日の日頃に出向く客となれば大抵は河南子しかいないらしい。
「ったく……世話の焼けるガキだ」
だが、駄菓子屋を除いてみても彼女の姿はなかった。俺は二つ目の場所「三丁目の公園」へ向かうことに。しか……
「くそ……ここもハズレかよ?」
こうしているあいだにも時間がけが過ぎていき、10時数分後に俺は広場へと戻っていた。ちょうど一足先に鷹文が俺の帰りを待っていた。
「どうでしたか?」
「どこもハズレだ……」
「あいつ……本当にどこへ行ったんだよ?」
「なぁ、交番にでも行けばどうだ?」
ふと、俺はそう尋ねた。鷹文だって学校があるんだしこのまま続けば、彼もサボり扱いを受けてしまう。
「……そうですね、じゃあ、僕が交番に行っておきます。わざわざ、ありがとうございました」
律儀にお辞儀をして鷹文は去って行った。しかし、俺は河南子の捜索を再開する。アイツは、俺のことを、明也という男に見間違えた。もしかすると、俺はその明也とかいう奴と深く関係しているんじゃないのか?そう、俺は河南子を探して彼女から明也に関する詳しい情報を聞き出したい。
「……」
俺は迷子にならない程度に街中をうろついて河南子らしき人影を探し始めた。しかし、何度探し回っても彼女らしき姿は見当たらない。
そうこうしている間にもあたりは次第に明るさを失い、夕暮れ時になった。俺は仕方なく河南子の捜索を断念して今日は智代のアパートへ帰ることにした。早く帰らないと言いつけを守れなかったことで怒られそうだ。
「シン!?」
「と、智代……」
そこには、俺の身を案じて探し回っていた智代がいた。
「どうしたんだ!心配したんだぞ?」
「あ……すまない。人を探していてな?」
「人を?もしかして記憶の一部が戻ったのか?」
「いや、そうではないが……記憶に関係あるかもしれない人物でな」
「そうか……で、どういう人物なんだ?私も協力しよう」
「名前は河南子という生意気な学生だ」
「か、河南子!?」
すると、智代は驚く。どうやらその顔だと知っているようだ。
「知っているのか?」
「……私の後輩だ。手が付けられなくてな?彼女が、何かお前に失礼な事でもしたか?」
俺は河南子と出会ってからの経緯を彼女に話した。
「そうか……膝は大丈夫なのか?」
「いや、特に気にはしない。だが、彼女がどこへ行ったのかが……」
「……」
智代は、少し困った顔をして、俺に話した。
「……シン、河南子は今私の部屋に来ているんだ」
「本当か?」
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